電気設備トラブル事例

電気設備トラブル事例6動力回路の漏電で、電灯回路のブレーカーが動作

愛媛支部 保安サービス1課 村上 正浩

設備などの状況

ある初夏の午前中、機械製造をされているお客さまから「漏電警報が鳴った後、事務所が停電した」と電話がありました。
私は「今からすぐにお伺いしますが、ブレーカーの操作で解決できる場合もあります。お待ちいただく間に、試してもらえますか」とお願いして現地に向かいました。

発見時の状況と対応

到着するとお客さまから「事務所のブレーカーが切れていた。教えてもらったとおりに操作してみたがダメだった」と伝えられました。
そこでまず、事務所の分電盤で絶縁抵抗を測定しましたが、全ての回路に異常はありませんでした。
次に、ブレーカーを操作してみました。全部「切」にし、メインブレーカーを「入」にした後、分岐回路のブレーカーをひとつずつ「入」にすると残り3回路目でメインブレーカーが切れました。切れた回路の絶縁抵抗を測定しましたが、問題ありません。
再度、全部「切」にし、メインブレーカーを「入」にした後、今度は切れた回路から「入」にしていくと、別の回路を「入」にした時にメインブレーカーが切れました。
「これは、他に原因がありそうです。電気室を調べます」とお客さまにお伝えし、電気室で漏電測定をしてみることにしました。

すると、動力変圧器の二次側で2A漏電していることが確認できました。さらに、漏電回路を探査していくと、工場の溶接機本体から漏電していることが判明しました。
原因箇所である溶接機には漏電ブレーカーが設置されてなかったのです。溶接機のナイフスイッチを「切」にしてから、事務所の電灯分電盤のブレーカーを全部入れると問題なく復旧できました。今回のように大きな漏電があると、回り込みで別回路の漏電ブレーカーが切れることがあるのです。
お客さまに、溶接機の改修を依頼するとともに、漏電による停電や感電防止のために、漏電ブレーカーの設置をお願いして帰社しました。
警報と同時に事務所が停電したため、原因箇所が事務所回路と思い込み、復旧に余計な時間がかかってしまいましたが、その日のうちに原因箇所が特定できてよかったです。

今後の取り組み

今回、溶接機に漏電ブレーカーが設置されていたら、溶接機からの漏電があっても他に影響を及ぼすことはなかったはずです。漏電による感電や火災がなく幸いでした。
漏電ブレーカーを設置すべきところに設置されていないお客さまに対しては、こうした事例を紹介し、設置をお願いしていきたいと思います。