電気設備トラブル事例

電気設備トラブル事例4原因は電線支持物

高知支部 須崎事業所 松井 龍哉

設備などの状況

私が保安業務従事者となって数カ月後の出来事です。
ある朝早く、「工場の電気が全部止まっている!」と、お客さまから電話がありました。電力会社の停電ではないようで、すぐに現地へ向かいました。

発見時の状況と対応

到着すると、お客さまが待っていました。挨拶もそこそこに状況を確認すると、構内柱上のPAS(高圧引込開閉器)が開放状態で、保護リレーも動作していました。
そこで、絶縁抵抗測定を実施することにしました。PASからLBS(高圧交流負荷開閉器)までの測定値は、異常ありませんでした。次に、LBS以下の高圧回路を一括した測定で、異常値に近い、要注意の値が出ました。
この日は残念ながら原因特定に至りませんでしたが、停電時間が長引くと操業に支障を来たすため、キュービクル内の機器の清掃を実施し、異常なく復電しました。
事務所に帰り、先輩に現地の写真を見てもらうと、「絶縁低下しやすいタイプの高圧絶縁電線支持物が使用されている。状況から判断して、原因はこれだろう」という話がありました。

お客さまに電線支持物の交換をおすすめしようと準備を進めていたところ、数日後の早朝、「また工場が停電している」と連絡がありました。
現地に出向くと状況は前回と同じでしたが、今度は、絶縁抵抗測定中に一部の電線支持物から「ジー」という音が鳴っているのに気が付きました。さらに、絶縁抵抗値が前回よりも低い値であることを確認しました。
応急処置として、電線支持物を清掃するとともに、取りはずしても特に問題ない箇所があったので、数カ所取りはずしました。この後、絶縁抵抗値が上昇したので、送電を実施しました。
お客さまにはその場で、電線支持物が原因であり、このままにしておくと再度停電の可能性が考えられることを説明しました。
そして、電線支持物の全数(約30個)取り替えをおすすめし、後日、無事に取り替え工事が完了しました。以降、絶縁抵抗値は正常値になり、停電は発生していません。

今後の取り組み

この時は、経験豊富な先輩に助言をもらうことで、原因を特定することができました。先輩に感謝するとともに、電気主任技術者として一つひとつの出来事にしっかり向き合い、さまざまな知識や経験を積み重ねることが大切だと思いました。