電気設備トラブル事例

電気設備トラブル事例22点検前のお客さまとの対話が大事

愛媛支部 保安サービス1課 安藤 公人

■設備などの状況

その日は雲が少ない晴れた日でした。多くの家畜を飼育しているお客さまの施設で2カ月に1度の月次点検を行っていました。

■発見時の状況と対応

その施設の電気設備の変圧器はV結線で、6,600Vの高電圧を低電圧に変圧して電灯回路と動力回路へ供給しています。点検の際には毎回漏れ電流を測定し、通常の測定値は10mA程度でしたが、その日は1,000mAという通常よりかなり大きな値が検出されました。
「これは何処かの回路で漏電している」と思い、まず漏電回路を特定するためにキュービクル配電盤の各回路の漏れ電流の測定をし、ある畜舎の電灯回路で漏電が発生していることを特定しました。その後、漏電していると疑われる畜舎電灯分電盤内の各回路を測定したところ、天井の照明回路にて漏電が発生していることを突き止めました。
思い返せば点検前、お客さまとの挨拶の際に「つい最近、畜舎の照明をLED化しました」との報告を受けており、工事でLED化した照明のいずれかで漏電が発生しているのではないかと推察し、各天井照明付近で測定しましたが、どの天井照明付近でも漏電はありません。

これは途中の配線が原因ではないかと考え、お客さまに停電の了解をもらいブレーカーを開放し、確認のため分電盤近くのジョイントボックスの蓋を開けてみました。すると、ジョイントボックスの蓋がビスで止められ、そのビスが電線を貫通している箇所を発見しました。
応急処置として、ビスが貫通していた電線の絶縁処置をビニールテープで行った後、漏れ電流を再測定したところ、通常の点検時と同程度の値になりました。
その後、ビスが電線に当たらないよう注意深くジョイントボックスの蓋を閉じ、お客さまに傷んでいる電線の取替工事並びに適切な長さのビスに取り替えていただくよう依頼しました。

今後の取り組み

今回、大きな漏れ電流が発生していたため、施設の従業員の方の感電や畜舎の火災に至らなくて良かったと胸を撫で下ろすとともに、点検前のお客さまとの対話や工事後の点検の重要性を改めて実感しました。
今後も、お客さまとの対話を大切にしながら業務に取り組んでまいります。