電気設備トラブル事例

電気設備トラブル事例20低圧配線を一本一本手で辿りながら

高知支部 保安サービス1課 前田 隆司

■設備などの状況

ある鉄工所において新設の竣工検査をした時のことです。
新設とは言え、高圧キュービクルは中古品を使用しており、使用されている受電設備も中古品でした。

■発見時の状況と対応

まず、電気工事業者と工事の打ち合わせを実施し、電気を送電する前の竣工検査の作業を開始しました。中古品ということもあり、いつもより念入りに確認作業を進めました。接地抵抗値や接続等の確認、受電設備の確認を行い、次に配線の確認を始めました。高圧から順番に配線を確認し低圧配線を実施したところ、動力変圧器2次側配線の数本が同じ白色の電線で、色別キャップも取り付けされずに低圧母線に接続されていました。
そこで、動力変圧器の低圧配線を一本一本手で辿りながら配線をチェックした結果、変圧器2次側配線のR相とS相が低圧母線銅バーのR相へ一緒に接続されていました。これは、変圧器の2次側で短絡(ショート)した状態です。
この状態を電気工事業者に伝えたところ、キュービクルを設置する前に動力変圧器を交換し、その際、配線を再接続した後の確認が十分ではなかったとのことでした。
そこで、電気工事業者に正しい配線に接続し直してもらうと同時に、識別キャップも取り付けてもらいました。

今後の取り組み

今回の事例により、中古・新品を問わず、竣工検査時の配線確認の必要性と重要性を再認識いたしました。仮に、誤結線された配線に気づかないまま送電していたら、低圧短絡事故につながっていましたので、無事に送電が完了し胸を撫で下ろしました。
今後も、基本の点検作業に真摯に向き合い、丁寧に実施してまいります。