電気設備トラブル事例

電気設備トラブル事例2無人の建屋に、招かれざる客が!

愛媛支部 今治事業所 白石 智之

設備などの状況

10月初め、普段は無人の倉庫で、月次点検を実施した時のことです。
お客さまは毎回、鍵の開け閉めのために現地へ来てくださいます。この日も鍵を開けていただいた後、すぐ帰られたので、一人で倉庫の奥にある電気室へ向かいました。

発見時の状況と対応

倉庫内は、かすかに異臭がしていました。電気室に近付くにつれて臭いは強くなり、「何の臭いだろう」と思いながら電気室に入りました。
まず高圧機器とその周辺を確認しましたが、異常はありませんでした。次に低圧回路を点検するために、自立型の配電盤へ近付くと臭いはさらにひどくなりました。
配電盤の裏側のカバーを外して内部を確認すると、なんとそこには、ハクビシン(タヌキに似た動物。額から鼻にかけて白い線がある)の死骸がありました。
異臭の原因はこれだったのです。配電盤内の銅バーに接触して感電したようでした。

そのままにはできず、処置をする必要がありました。お客さまに現地を確認していただき、停電の了解が得られたので、応援を頼んだ同僚と2人で作業を行いました。
引込開閉器を開放して停電した後、死骸を取り除き、配電盤内の汚れをきれいに清掃。絶縁抵抗の測定値は良好で、無事送電することができました。
それにしても、なぜハクビシンは配電盤の中まで入り込んだのでしょうか。この倉庫には、機械などを置いているだけで、ハクビシンの食べ物はありません。
配電盤にも電気室にも侵入できる隙間はなさそうでしたが、ハクビシンは頭が入るところであれば侵入してきます。侵入経路は、まず倉庫に入り、それから電気室の外側のケーブルラックのわずかな隙間にもぐり込み、電気室の床下を通り、配電盤までたどり着いたと想定しました。
お客さまには、銅バーに短絡痕がある配電盤の取り替えをおすすめするとともに、ケーブルラックのすき間への対策についてもお願いしました。

今後の取り組み

電気室から離れた場所のわずかな隙間から侵入していたハクビシンのように、小動物は油断ができません。高圧機器の充電部に接触した場合、停電事故を発生させるおそれもあります。今回のことがあってから、わずかな隙間であっても小動物は侵入してくるということをいつも意識して点検しています。