電気設備トラブル事例

電気設備トラブル事例13初めての停電点検で…

香川支部 保安サービス1課 鎌野 貴行

設備などの状況

ある春の曇り空の日、市内住宅地の一角にある公共施設で、年に一度の停電点検をした時の出来事です。
施設のキュービクルは屋上にあり、その年の4月から当協会が点検するようになりました。この日は私たちにとって初めての停電点検で、継電器の動作特性試験、変圧器の内部点検、接地抵抗測定などを実施していきました。

発見時の状況と対応

最後に、高圧回路全体の絶縁抵抗測定をした時のことです。絶縁抵抗値が低く、高圧の漏電が発生する恐れのある値でした。そこで、絶縁抵抗値が低い箇所を特定するため、各機器を切り離しながら個別に測定していき、絶縁抵抗値が低くなっているのは高圧開閉器もしくは高圧ケーブルであることを突き止めました。高圧ケーブルは、敷設後10年未満のものでしたが、ケーブルヘッドの外観点検や各相のシールド測定結果から、高圧ケーブルが不良であると断定しました。
すぐに、この施設の連絡責任者の方に状況説明をし、早急にケーブルを取り替えするようお願いしました。早速、工事の手配をしていただき、数日後、不良の高圧ケーブルの取り換えは完了しました。
もし、この停電点検による高圧引込ケーブルの不良が発見できていなければ、ある日突然、停電事故が発生する可能性もありました。当該高圧ケーブルは比較的新しく、劣化が始まる時期としては早かったのですが、電気の健康診断である停電点検で早期に発見できたことで、その点検・測定の重要性を実感しました。

不良で取り換えした高圧ケーブル

今後の取り組み

 高圧ケーブルは、電気を使用するための大動脈となる重要な設備のため、経済産業省からも「更新推奨時期に満たない高圧ケーブルにおける水トリー現象に係る注意喚起」において、劣化の兆候が確認されたケーブルは速やかに更新することが明記されています。
今後も、停電点検時には絶縁測定による劣化の進行具合を確実に把握するとともに、不良の高圧ケーブルの取り換え推進により停電事故の未然防止に努めてまいります。