電気設備トラブル事例

電気設備トラブル事例12ベッドを動かしてみると…

高知支部 保安サービス2課 山﨑  翼

設備などの状況

梅雨時期のある晴れた日の夕刻の事です。市内の病院より「分電盤のブレーカーが落ちて、病室内のコンセントが使えない」との連絡がありました。先日も同様の申し出があり、当番が現地に駆けつけましたが原因がわからずに復旧したとの引き継ぎを受けていましたので、至急現場に向かいました。

発見時の状況と対応

到着すると、60歳前後の連絡責任者の方がすぐに案内してくれました。まず、分電盤で切れているブレーカーの回路を確認して絶縁抵抗測定を実施しましたが、特に異常はありませんでした。ブレーカーは30年以上年数が経っており、経年劣化での誤動作も考えられます。しかし、「使い過ぎの容量オーバーで動作した可能性が高い」と考え、病室内を点検させていただくようお願いしました。
ある大部屋の一室に案内していただくと、コンセントが複数箇所にあり、電動ベッドの電源プラグ等が差し込まれていました。看護師さんと連絡責任者の方と一緒に一箇所ずつ調べていきました。各々の使用機器の消費電力(kW)についても確認しましたが、合計してもブレーカーの定格容量以内で使用されていました。他に原因がないか調べていると、ベッドを動かした際に壁へ埋め込まれたコンセントが見えました。見た瞬間に違和感を覚え、良く見ると、コンセントの上部は破損しており、さらに下部の差し込み口には金属片が刺さった状態でした。恐らく使用していた機器の電源プラグが損傷し、そのまま放置したことにより、介護時等にベッドが動いた瞬間だけ接触して金属片同士が当たり(=ショートして)ブレーカーが動作したことが推測されました。
すぐに、連絡責任者の方へ「このまま使用すると、感電や火災の原因になる」ことを説明して、金属片の撤去とコンセントの仮処置を実施しました。

コンセントの上部が破損し、
下部の差し込み口に金属片が刺さった状態

今後の取り組み

今回は感電や火災に至っていないことが幸いでしたが、一歩間違えると人命に関わる恐れもありました。日頃から、関係各所への問診による状況把握の重要性を認識し、普段の点検時に破損したコンセント等を発見した場合は、お客さまへの報告・改修をお願いし事故の未然防止に努めてまいります。