電気事故未然防止例

電気事故未然防止例238見た目はキレイでも中身は…

高知支部 保安サービス2課 片岡 英博

設備などの状況

6月のある朝、「工場全体が停電している」とお客さまから連絡がありました。8時前でしたが、すでに出社していた私は、急いで準備して現地に向かいました。お客さまは、山間地域にある製造工場です。

発見までの状況

到着してすぐ、構内柱上に設置された高圧引込開閉器を確認したところ開放状態になっていました。保護リレーを見ると動作表示が出ていました。どこかに保護リレーが動作した原因があるはずです。目視による点検や絶縁抵抗測定を行いましたが、この時は、いくら探してもどこにも異常は見つかりませんでした。
梅雨時なので「結露が原因かもしれない」と思い、高圧機器の碍子などをウエスで清掃した後に開閉器を「入」操作したところ、何事も無く復電できました。

その後の点検では、しばらく様子見が続きましたが、真冬に実施した月次点検で、ついに隠れていた異常が表に現れました。高圧引込開閉器の制御配線に、急激な絶縁低下がみられたのです。開閉器への雨水の浸入が疑われたので、お客さまに状況を説明し、次の日の朝早く停電して原因を特定することにしました。

ところが翌朝、予期せぬ事態が発生しました。停電のために高圧引込開閉器を「切」操作しようとしたのですが、操作不能になってしまったのです。
すぐに、開閉器を取り替える段取りをしました。幸いなことに、電気工事業者さんや四国電力送配電の方々にも協力いただき、その日のうちに無事復旧することができました。
工事後、撤去した開閉器の底蓋を開けて内部を確認すると、やはり内部に水が溜まっていました。
この高圧引込開閉器は、更新の目安となる製造後10年が過ぎていました。計画的な更新をお願いしていましたが、操作不能になる前に、もう少し早く実施できていたらと思っています。

今後の取り組み

最近の高圧引込開閉器はステンレスケースです。外観はきれいに見えても、内部の見えないところに不具合が発生している場合があります。
電気事故を未然に防止するために、計画的な設備更新をおすすめします。