電気事故未然防止例

電気事故未然防止例237かすかな音から異常を発見!

徳島支部 保安サービス1課 好浦 忠彦

設備などの状況

ある暑い夏の日の午後、飲食業を営むお客さま施設で、月次点検を実施していた時のことです。

高圧受変電設備には異常のないことを確認し、続いて低圧設備の点検に移りました。

発見時の状況と対応

壁の上のほうに設置された配電盤のフタを背伸びしながら開けると、かすかに「チチチ……」と、音がしていることに気が付きました。

配電盤の中から音がしているのは間違いなさそうです。しかし、配電盤の位置が高いこともあり、耳を澄ましても発生場所を特定することができませんでした。サーモグラフィーで温度を調べてみても、異常は見つかりませんでした。

ところが、そのあと目視でよく観察してみると、端子部分がわずかに変色しているスイッチが見つかりました。変色は、過去に過熱した痕跡のようでした。

もう一度、サーモグラフィーで詳しく調べてみると、そのスイッチの1つの端子だけが、他より温度が高くなっていました。さらに、脚立に上がって確認してみたところ、やはり、そのスイッチから音が出ているようでした。異常があったのは、厨房機器用の配電盤への送りスイッチでした。

すぐにお客さまに連絡し、現地を実際に見ていただきながら、異音・変色・発熱があるので取り替えが必要であることを説明しました。

すると、ありがたいことに、お客さまはその場で電気工事業者さんに電話をして工事依頼をしてくださいました。私も途中で電話をかわり、当該スイッチの仕様などを説明しました。

数日後、取り替え工事が行われ、撤去したスイッチを確認すると、内部の接点部分の不具合だったことが分かりました。経年劣化によるものと思われます。

今後の取り組み

今回、かすかな異音を見逃していれば異常を発見できなかったかもしれません。

今後も、計測器だけに頼らず、視・聴・嗅(きゅう)・味・触といった五感を働かせた点検を実施してまいります。