電気事故未然防止例236壁の中に犯人が!
愛媛支部 宇和島事業所 二ッ矢 敏樹
設備などの状況
当協会では、電気事故などのトラブルに24時間365日対応するために、休日・夜間は当番制で勤務しています。
私が当番だったある休日のことです。朝から事務所で待機をしていたところ、昼ごろに「休憩室で異臭がする」という電話があり、現地に向かうことになりました。連絡のあった施設は、私がこれまで担当したことのないお客さまでした。車を運転しながら、「休憩室は厨房の横らしいので、厨房で料理する匂いが流れていったのではないか」と気楽に考えていました。
発見時の状況と対応
到着するとすぐに、責任者の方から「さっきまで異臭がしていましたが、今はおさまっています」と状況が伝えられました。
私はまず、ブレーカーの加熱や焼損の有無などを点検しましたが、異常はなく、「やっぱり料理の匂いなのかな」と思っていました。すると、その場にいた職員さんから「使えなくなっているコンセントがあります」と声がかかりました。
それを聞いて、「どこかで配線が焼損しているのではないか」と推測しました。職員さんに当該コンセントの場所を教えてもらい、カバーを取り外して内部の様子を見ようとすると、ほんのりと焼けたような匂いがしました。少したって、コンセント部分からわずかに煙が上がったのも見えました。
推測していたことが確信に変わりました。すぐに、「このままだと火事になる恐れがありますので壁を破って中を確認させてください」と責任者の方にお願いすると、「それは大変だ。早く壁を開けてください」とおっしゃり、壁材のベニヤ板を切るためのカッターを持ってきてくださいました。
カッターを手にした私は、「壁を開けてしまって、もし何もなければどうしよう」という思いが頭をよぎりつつも、「手遅れになるよりかは良いだろう」と、思い切ってベニヤ板を切り裂きました。


中から現れたのは、内面がこげたケーブルでした。柱に沿って配線されたケーブルが、年数を経たベニヤ板の歪みによって柱との間で押し潰され、被覆が剥がれ、心線がむき出しになっていました。
私は、焼損部分の配線を切断してテープ巻きを行い、ベニヤ板の補修は施設の方にお願いしました。大事に至らず幸いでした。
今後の取り組み
今回は建屋の老朽化に起因したケーブルの不具合で、レアなケースでした。
私たちの仕事はどのような場面でも、お客さまのお話と自分自身の考えを総合的に判断しながら、迅速的確な行動に移すことが求められます。これからも、お客さまのご理解ご協力をいただき、日々の保安業務に励みたいと思います。