電気事故未然防止例

電気事故未然防止例235高圧遮断器が投入できず、冷や汗

香川支部 観音寺事業所 池北 博行

設備などの状況

養殖場を営むA社さまでは、毎年2~3月ごろに停電して年次点検を実施しています。出荷シーズンが終わって養殖池の水が抜かれるこの時期でないと、停電が難しいからです。

養殖期間中は、水車が24時間フル稼働して養殖池に酸素を供給しているので、万一停電で水車が長時間止まるようなことがあれば、大変なことになってしまいます。お客さまには予防保全の重要性をお話し、高圧機器の計画的な更新をお願いしていました。

ところが、今年の年次点検で、経年劣化の心配のあった高圧真空遮断器(VCB)に、ついに危険シグナルが点灯しました。

発見時の状況と対応

年次点検でVCB本体の絶縁抵抗値を測定すると、不良レベルまで低下していました。そこで、すぐに本体をウエスで入念に清掃すると効果があり、要注意レベルまで絶縁抵抗値を回復させることができました。

しかし、これで一件落着とはなりませんでした。年次点検が終わり、復電のために「切」になっていた遮断器のハンドルを「入」にしようと操作したところ、今度は、「入」にならないというトラブルが発生したのです。

幸いなことに、何度も操作ハンドルを動かしていると、「ガチャン」と音がして「入」にすることができました。ようやくこれで、切羽詰まった状態から解放されました。

VCB操作時の動作不具合は、操作機構部への注油で処置できる場合もありますが、今回のケースでは、絶縁抵抗値が低下していたことに加えて、更新推奨時期である製造後20年を経過していたことから、VCBの更新が必要と判断しました。

復電後、社長さんに今回の状況を報告し、VCBの更新についてお願いすると、「経年劣化については、以前から気になっていた。次の養殖が始まるまでなら停電してよいので、保安協会で更新工事の段取りをしてほしい」と承諾いただくことができました。

その後直ちに、電気工事業者さんと打ち合わせ、お客さまの養殖事業に影響を与えることなく、約1カ月半後にVCBを更新することができました。“今、養殖池では稚魚が立派に成長し、元気に泳ぎ回っています”

今後の取り組み

今後もお客さまに安心して電気設備をご使用いただけるように、予防保全の重要性をていねいにご説明するとともに、早めの更新をお願いしていきたいと思います。