電気事故未然防止例

電気事故未然防止例234何もしていないのに、照明が消えたり点いたり?

高知支部 山田事業所 藤本  哲

設備などの状況

ある病院に月次点検で訪問した時のことです。事務長さんに「前回の点検以降、何か変わったことはありませんでしたか?」と問いかけると、「そういえばこの前、看護師が病室の照明のことを話していたなぁ。点いていた照明が、何もしていないのに3部屋同時に消えて、あれって思っていたら、自然にまた点いているらしいのですよ」というお話がありました。ナースステーションでさらに聞いてみると、305~307号室で、何度かそのような現象が発生していることがわかりました。

3部屋同時ということなので、照明器具が原因ではなさそうです。このまま放置できないと思い、調査をすることにしました。

発見時の状況と対応

まず、ブレーカーでの接触不良を疑い、分電盤内の305~307号室の照明用配線を含む回路となる20Aブレーカーを点検しましたが、異常はありませんでした。

次に、天井裏の配線を確認することにしました。点検口は、306号室前の廊下天井にありました。脚立に上がって暗い天井裏を覗いてみると、すぐ近くにある赤いものが目に入りました。よく見ると、配線の接続箇所が過熱して、赤く変色しているのが確認できました。原因は、配線接続用の差込形コネクタでの接触不良だったのです。

すぐに事務長さんと看護師さんに状況を説明し、当該回路を停電した上で、不良箇所を改修することの了解を得ました。そして、差込形コネクタから配線を外して、リングスリーブによる圧着接続に変更する作業を行いました。

改修作業のあと、事務長さんに、撤去した差込形コネクタを見ていただきながら、「天井裏は、ほこりなども多いので、そのまま放置していたら、火災につながる恐れもありました」とお伝えしました。

差込形コネクタは、簡単に作業ができるため、配線の接続箇所でよく使用されています。しかし、接触スプリング構造であることから、施工時には差し込み状態などに注意しなければなりません。今回の事例では、スプリング機能が年月を経て弱まったことで接触不良となって過熱し、過熱のせいで金属部の劣化が徐々に進み、さらに接触不良がひどくなったものと考えられます。

今後の取り組み

問診時のお客さまのようすでは、照明が少しの間消えても特に不便もなく、困っているわけではなさそうでした。もし、このとき聞き取りできなかったら、発見が遅れ、大変な状況になっていたかも知れません。今回、問診の重要性を再認識しました。これからも、いろいろなことを気楽に相談いただけるように、お客さまとの関係を大切にしたいと思います。