電気事故未然防止例

電気事故未然防止例233高圧ケーブルに水の侵入を発見!

徳島支部 保安サービス1課 山本 将平

設備などの状況

昨年11月、ある製造工場のお客さまで、高圧ケーブルの更新工事がありました。
当協会では予防保全の観点から、高圧受電設備の計画的な更新をお客さまにおすすめしています。今回ご紹介するお客さまでは、長年使用した設備の更新を、数年前から段階的に実施していただいており、昨年は製造から24年経った高圧ケーブルの更新となりました。

発見時の状況と対応

更新工事は、工場を全停電して電気工事業者さんが1日がかりで実施することになり、私たちも開閉器操作した後、工事の状況を見守りました。そして竣工試験を実施後、当初予定した時刻までに送電することができました。

工事後、撤去した40メートル近い長さのケーブルを見ると、地中管路に入っていた部分の切り口から水が滴っていました。外装を剥いで内部を確認してみると、シースアースの銅テープが錆びていました。

その場でお客さまにも撤去したケーブルを見ていただいたところ、「電気事故になる前に取り替えできて助かった」と、早めの更新の重要性を改めて感じられたご様子でした。

ケーブル内部への水の浸入口となったのは、構内柱上のケーブル端末部または埋設部と考えられますが、いずれも目視確認が困難な箇所です。異常を発見するためにはケーブルの絶縁抵抗値が頼りになりますが、これまで実施してきた点検時の測定値には問題はありませんでした。そのため、ケーブルを緊急に更新する必要性はなく、計画の中で更新したら良いと考えていました。

まさかケーブル内部がこのような状況になっているとは予測できず、間一髪で電気事故をまぬがれた思いがしました。

今後の取り組み

高圧ケーブルが原因となる予期せぬ電気事故が発生すると、復旧に時間がかかり、何日もかかるケースもあります。健全に見えるケーブルであっても今回のような状況になる可能性があるため、これからも年数が経った設備は、早めの更新をお客さまにおすすめしていきたいと思っています。

高圧ケーブルの切り口から水が滴っている

外装を剥ぐとシースアースの銅テープが錆びていた

高圧受電設備更新の目安

電気機器は、長期間使用すると経年劣化により機能や性能が徐々に損なわれ停電事故に繋がる恐れがあります。
更新の時期は、環境や使用状況で差はありますが、下図の年数を参考に計画的な更新をお奨めします。

高圧機器の更新推奨時期

(更新推奨年数は、日本電機工業会資料より抜粋)