電気事故未然防止例

電気事故未然防止例231高圧区分開閉器の接地線と高圧電線が接触寸前!!

香川支部 坂出事業所 占部 庄太朗

設備などの状況

今年7月中旬、月次点検のために食品工場のお客さまを訪問した時のことです。到着してすぐ、外観点検のために構内柱を見上げたところ、高圧区分開閉器の接地線と高圧電線が接触寸前になっているのを発見しました。

発見時の状況と対応

原因は、構内柱の上部で固定していた接地線が、固定具から外れて浮き上がった状態になっていたためでした。強い風でも吹けば、接地線は高圧電線と接触して高圧地絡事故となり、工場全体が停電してしまう恐れがあります。
私は、お客さまに状況を説明し、「至急、接地線を固定する作業をしたいが、停電が必要である」旨をお伝えしたところ、「製造中に停電すると商品に影響がでるので、今は無理だが、仕事が終わった後なら大丈夫」とのお返事をいただくことができました。

柱上での作業は、単独ではできない内容でした。その場で同僚に連絡をとって応援の依頼をし、工場の仕事が終わるのを待つことにしました。それからしばらく待機していたところ、ありがたいことに予定よりずい分早く、お客さまから「もう停電してもいいよ」というお声掛けがありました。
同僚と一緒に準備万端で作業に取りかかった私は、停電をした上で構内柱にのぼり、接地線を固定していた結束バンド(耐候性の高い樹脂製)が破断している状況を間近で確認しました。その後、浮き上がっていた接地線は、バインド線(ビニルを被覆した金属線)で念入りに固定して事なきを得ました。
今回、早めに対処できたのは、お客さまのご理解とご協力のおかげです。

今後の取り組み

今回の原因となった結束バンドは、10年ほど前に取り付けしたもので、通常は経年劣化の時期ではありませんが、太陽からの紫外線によって劣化が進んだものと思われます。
高圧受電設備は、更新推奨時期を目安とするだけでなく、個々のお客さまの周囲環境や使用状況などにも注意して点検しなければなりません。今後も、電柱の上など確認しにくい場所は、特に念入りに点検するとともに、早めの交換や改修の重要性をお客さまにお伝えしていくことで、電気事故の未然防止に努めてまいります。