電気事故未然防止例

電気事故未然防止例229非常用発電設備の冷却水ヒーターの故障発見

徳島支部 徳島南事業所 吉岡 敬三

設備などの状況

今年の2月中旬のことです。特別養護老人ホームのお客さまに設置した絶縁監視装置からの警報を受信したことから、原因調査をするために現地へ向かいました。

発見時の状況と対応

その日、お客さまにお聞きしても漏電については心当たりがなく、絶縁抵抗を測定しても異常は見つかりませんでした。そのため、一旦は協会事務所に帰りましたが、警報は昼夜を問わず数時間おきに発生するようになり、次の日から、数多い回路に記録計を順番に取り付けて原因を特定することにしました。
そうして10日ぐらい経った頃、記録計のデータから、非常用発電設備の冷却水ヒーターの回路に異常があることが、ようやく判明しました。
この施設の非常用発電設備は、消火栓ポンプ用に設置されたもので、万一、火災が発生して停電した場合に起動しなければならない重要な設備となります。そこで、お客さまに「冷却水ヒーターの交換が必要と思われる」ことを説明し、この発電設備のメンテナンスができる業者さんに修理を依頼することになりました。
修理の当日、業者さんが取り外した冷却水ヒーターを確認してみると、スラッジが溜まって明らかに劣化していました。冷却水ヒーターは、エンジン本体に埋め込められていることから、外観の点検だけでは異常の発見はできませんが、今回は、24時間365日監視している絶縁監視装置が、気が付きにくい隠れた異常を教えたのです。

取り外した冷却水ヒーター

新しい冷却水ヒーター

今後の取り組み

非常用発電設備は、定期的に車検がある自動車とは違って、メンテナンスがおろそかになりがちです。今回の事例では、冷却水ヒーターの劣化によって、いざという時に発電機が起動しないおそれもありました。
そのようなトラブルがないよう、私たちは法定点検だけでなく、メーカー等が推奨する点検整備や部品交換等についても、その重要性をお客さまに理解していただき、定期的なメンテナンスをおすすめしていきたいと思っています。