電気事故未然防止例

電気事故未然防止例221熱画像温度計により高圧線の温度上昇部を発見

徳島支部保安サービス 2課 近藤 明

設備等の状況

月次点検に訪問し、受電用キュービクルを点検していた時のことです。

発見時の状況

お客さまは、事務所ビルで受電設備は3階の屋内キュービクル式電灯変圧器100kVA・動力変圧器150kVAとなっています。
キュービクル内の高圧部分を熱画像温度計にて確認していたところ、高圧線のサポート碍子部分で他より温度が高くなっているところがありました。(写真参照)温度は高い所で45度(白相の接続部分)であり、温度自体には問題がなくネジが緩んでいるような様子もありませんでした。しかし、他の相(赤相、青相)の同じ端子部分より10度ほど高くなっており、温度はそれほど高くないものの、心配だったので経過を観察することとしました。そして次の点検時にも同様の状況であったため、3カ月先に予定されていた停電点検時には、接続端子部分を念入りに点検することにしました。

3カ月が経ち、停電点検の時には接続部を外し詳細な点検を実施しました。接続端子部分は見た目どおり緩みは無く、接続部の各部分にも問題はありませんでした。原因もはっきりしなかったのですが、このまま元に戻すのは不安だったので、取りあえずサポート碍子を使用しないこととし、電線の圧着端子部分を直接ボルトナットで接続して様子を見ることとしました。

その後の月次点検においては接続部の温度上昇はなく他の相と同様に安定した状況となり安心して使用できています。原因は明確には分からないのですが、接続部表面の汚れ等によるものではないかと推測するにとどまっております。

今回は、緊急対応が必要な状況ではありませんでしたが、熱画像温度計によりささいな兆候を捉えることができました。また、高圧充電部分であり触手による判定もできない箇所でありました。他の部分との温度比較が容易にできたことにより見つかったものであり、従来の熱温度計(温度のみ表示)では見つからなかったと考えます。

今後の取り組み

今後もこのように最新の測定器の特徴をいかした点検を行い、異常部分の兆候をいち早く察して行きたいものです。