電気事故未然防止例

電気事故未然防止例220カラスの営巣を発見

愛媛支部 保安グループ 2課 俊野 雅博

設備等の状況

ある浄水施設を点検していた時のことです。

発見時の状況

春先のことでした。電気設備の月次点検のためお客さまを訪問しました。
お客さまに挨拶をし、いつもどおり構内柱から電気設備の巡視点検を行おうと構内柱の外観点検を始めました。すると高圧気中開閉器(PAS)の隣に設置されてある2回線受電切替用スイッチ下の腕金に、カラスの営巣を目視にて確認しました。さらに双眼鏡で細かく観察してみると、高圧絶縁電線に接触しており、水気を含んだ場合、地絡・短絡を起こしてもおかしくない状態でした。

そこで、こうした危険な状況をお客さまに伝えました。すると設備の都合上、昼食時間帯後の14時ころから夕方にかけては停電が可能な状態とのことでした。早速、緊急停電の準備手配をいただき、昇柱して営巣物を撤去し、無事送電することができました。

撤去後、営巣物を確認すると、木の枝、ビニル紐、ハンガー等の針金で構成されていました。今回発見した営巣は、たまたま天候の良い時に作られたものであり、またハンガー等の針金が、腕金や絶縁電線に直接接触していなかったことが幸いして、停電事故に至らなかったようです。

お客さまに撤去の結果を報告し、今後1カ月は2、3日おきに外観の確認をしていただくようお願いしました。するとその後1週間に1、2回は木の枝が運ばれており、その都度撤去しました。そして半月が過ぎようとするころ、ようやく営巣の形跡がなくなりました。

3月頃から6月頃にかけてはカラスの繁殖期であり、外敵から卵を守るために今回のように電柱上に営巣することがあります。また、1回巣を撤去しただけでは解決しない可能性があることもご理解いただいたので、再発防止のため営巣防止器具を設置していただきました。

今後の取り組み

春先はカラスの営巣による停電事故が四国でも20件程度発生しており、営巣途中を早期発見することが停電事故の未然防止につながります。
今回の事例をもとに、他のお客さまにおいても保安協会による定期点検とお客さまによる自主保安を合わせ、相互監視により営巣防止と停電事故防止に取り組んでまいります。