電気事故未然防止例

電気事故未然防止例219開閉器は早めに更新しましょう

観音寺事業所 楠尾 聡一郎

設備等の状況

あるお客さまの高圧引き込み開閉器の取り替え工事に立ち会った時のことです。

発見時の状況と対応

取り外される当該開閉器は約20年間使用されていましたが、外観はそれほど傷んでいるようには見えませんでした。しかし、吊り下げられた開閉器を下す時、開閉器の隅から水がポタポタと作業車の中や地面に落ちてきました。開閉器の中を見てみると、かなりの水(コップに一杯分ほど)が溜まっていました。地上から見上げた時には、開閉器の外観はそんなに劣化しているようには見えませんでしたが、地上に下ろして点検してみると、所々に錆びが確認できました。

開閉器内部に水が溜まる原因については、次の二つが考えられます。

  • 開閉器本体は溶接構造なので、錆びが発生すると、目には見えない穴があき雨水等が浸入する。
  • 電線接続部や、各種パッキング部の劣化により雨水が浸入して内部に水気が溜まる。

開閉器はお客さま構内で高圧の地絡事故が発生した場合に、自動的に電気を遮断する重要な機器です。しかし、開閉器本体が故障した場合は自動的に遮断することができず、電力変電所の開閉器を動作させてしまう恐れがあります。電力の開閉器が動作し配電線が停電すると、お客さまの付近一帯が停電してしまう波及事故となり、社会的に大きな影響を及ぼすこととなります。場合によっては、社会的制裁を受けることもあります。こうした事例をお客さまに説明し、ご理解していただき、今回は開閉器を更新することができました。もし、このままの状態で使用していたら、さらに開閉器内に水が浸入して充電部(通電部)まで達し、これが原因となり波及事故につながる恐れもありました。今回開閉器取り替えにご同意いただいたお客さまには、これからも安心・安全に電気をご使用いただけるとホッとしております。

今後の取り組み

通常、高圧引き込み開閉器は屋外に設置され、風雨にさらされていることが多いため、どのメーカーでも10年での更新を推奨しています。10年での更新は短いようにも思われますが、今回の事例のように、屋外の開閉器は想像以上に劣化が進んでいる場合もあります。これからも保守点検を確実に行い、設備の健全性が確保できるよう、適切な時期に高圧機器を更新する必要性をお客さまに説明し、波及事故防止に向け働きかけてまいります。