電気事故未然防止例

電気事故未然防止例217ケーブルから水?老朽化したケーブルは早めの更新を!

徳島南事業所 新居 健助

設備等の状況

公共施設の受電キュービクル内部の目視点検を行っていた時のことです。

発見時の状況と対応

月次点検のために訪れたお客さまに挨拶を行い、まず引込電柱の点検を実施しました。次にキュービクルに移動し内部の目視点検をしていたところ、高圧6,600ボルト引き込みケーブルのキュービクル内の端末部分に汚れがあるのを発見しました。ホコリが溜まってくることはよくあることですが、通常とは違う汚れ方でした。よく観察してみると水のようなものがケーブルの端部から出ています。周りを見ると、キュービクルの屋根部の損傷もないので雨漏れによる水ではないようです。これはケーブルの引込電柱側屋外端末部分から雨水が入っている恐れがあります。早速お客さまに状況をお伝えして、停電による詳細な点検の必要があることを説明しました。

後日停電により点検を行い、絶縁抵抗値の測定や近接しての目視点検などにより詳細な確認をしたところ、やはり屋外の端末部より雨水が浸入しているとの結論に至りました。絶縁抵抗値は今のところ良好でしたが、雨水が出てくる量も多くなっているようです。そこで再度お客さまに、このままでは非常に危険な状態であること、また事故が起こった場合には復旧に時間がかかることを説明し、ケーブルの取り替えにご理解をいただきました。

改修計画が決まりケーブルの取り替えを行うこととなり、工事の立会を行いました。その際引き抜いた高圧ケーブルをよくみると、想定どおり引込電柱側のゴム製端末三叉管部分が劣化し亀裂が入っていました。雨水はこの亀裂より浸入し、キュービクル側にて漏水していたのでした。次に高圧ケーブルの外装を剥いでみるとケーブルシースが複数箇所において断線していました。

高圧ケーブル内部に水が入ると絶縁物が劣化し、水トリーという現象が起き漏電による停電事故となってしまいます。水トリーでは、過去に他のお客さまにおいて引込口に設置されている保護継電器がうまく働かなくなり、波及事故となったこともありました。

お客さまに波及事故になった場合の危険性や高圧ケーブルの重要性をご理解いただいたことにより、大きな事故になる前に対処ができました。お客さまも「電気事故に至らずに良かった」と安心されていました。

今後の取り組み

今回は、目視による点検によって危険な状態を早期に発見でき、改めて「日常の巡視点検が、危険を感じ取るはじめの一歩だ」ということを実感しました。またお客さまにも、高圧機器の重要性を十分理解していただき、長く使用している機器については設備の健全性を確保するためにも、更新計画に沿った適切な時期の更新をお願いしました。これからもお客さまに安心して電気を使用していただけるよう、的確・確実に点検を行っていきます。