電気事故未然防止例

電気事故未然防止例215月次点検時には五感を最大限働かせよう

丸亀事業所 前川 定三

設備等の状況

受電キュービクルのほかサブ変電所が6カ所ある工場の月次点検を3名でしていた時のことです。

発見時の状況と対応

月次点検のため、お客さまに挨拶を済ませ、3名がそれぞれ分担されている棟に分かれて点検を行いました。2番目のサブ変電所(キュービクル)の点検を始めた時のことです。ジィーッという異音が聞こえてきました。「おかしいなあ。周りの工場からの音だろうか」と考えながら、キュービクルの高圧側の扉を開けました。そして、耳を澄ましてみると、周りの騒音よりキュービクル内での音のほうが高いので「これは、キュービクル内からの音のようだ。何か異変があるようだ」と思い、キュービクル内で、ジィーッという音が一番高い所がどこかを探しました。すると主受電用遮断器付近での音が高く、放電によって生じるオゾン臭のようなにおいも発生していました。これは放っておいたら危険な状態だと判断し、主遮断器が原因であることを確認するため、保安協会事務所に連絡をして、ウルトラホーンを持参してもらいました。それで診断してみると、RS相間だけが70dB以上もありました。さらに放射温度計にて温度測定をすると同じようにこの相間だけの温度が上昇していました。

主遮断器が明らかに危険な状態で、早急に取り替えを要する事例だと考え、お客さまの連絡責任者にその状況を説明しました。それから工場の操業が終わるまでに、電気工事業者に遮断器の取り寄せをお願いし、上長に連絡して竣工試験の準備と人員の手配を依頼し、夕方まで何も起こらないことを祈りながら、他の棟の点検も終わらせました。

同日、遮断器も無事確保できたことから、工場の操業終了後に取り替え工事および竣工試験を終わらせて、送電をその日のうちに再開することができました。

のちに、撤去した遮断器の絶縁測定を測定したところ、RS相間だけがほぼ0MΩであり、遮断器上部に多少の変色も見られました。もしこのまま気づかずに放っておけば、おそらく近々に相間短絡を起こし、停電事故になる恐れもありました。事故になる前に早く対処できたことにお客さま共々、ホッと安心しました。

今後の取り組み

この工場では定期的に年数の古い機器から順番に更新していますが、随時取り替え予定であった遮断器の異常を早く発見できたこともあり、他の高圧機器の更新についても安全を重視して、前倒しで進めていくことになりました。

点検に際しては、詳しく目視で確認することはもちろん、異音や匂いなど他の五感も働かせて、高圧機器のみならず低圧機器も含めて細心の注意を払いながら、異常がないかを見究めていくことが重要です。