電気事故未然防止例

電気事故未然防止例210いやな予感が的中、ぐるぐる巻きに

高知支部 山田事業所 濱田 直樹

設備等の状況

残暑厳しい9月の上旬、ある文化施設のお客さまに月次点検で訪問した時のことです。

発見時の状況と対応

こちらのお客さまは2カ月に1回の点検頻度で、いつも偶数月の中旬から下旬にかけてお伺いしていました。しかし、この現場は前任者から「夏場は雑草や蔓が発生しやすい」という情報を得ていたことや、例年以上に猛暑が続いたことで「雑草の生長が早いのではないか…」といういやな予感がしたため、予定を早めて点検にお伺いしました。

いつもどおりお客さまに挨拶をして、建物の反対側にある屋外キュービクル近くの駐車スペースまで車を移動させ、ヘルメットや作業手袋の着用などの点検準備をしてキュービクルへ近づいた時、“えっ…”と一瞬、目を疑いました。

蔓がチョロチョロ…のレベルではなく、白い砂利が敷き詰められたキュービクルの周囲を、ひざ下ぐらいの高さの雑草が見事に覆っていました。私は、予想をはるかに上回る植物の生長に驚くと同時に、思わず「まずい…。」と呟いてしまいました。

雑草を足でかき分けながら近づき、キュービクルの扉をそっと静かに開けると、残念ながら、いやな予感は的中していました。

通気口の隙間から、細い蔓がキュービクル内に侵入しており、変圧器のブッシングを経由し高圧線をぐるぐる巻きながら、上部の高圧カットアウト部分にまで到達していました。しかも、あろうことか隣の高圧線まで蔓を伸ばしており、私は思わず扉をそっと閉じ、慌てて連絡責任者のもとへ走りました。

まずは連絡責任者に状況を説明し、早急に停電して蔓を除去する必要があることを伝えました。私のこわばった表情が功を奏してか、開館中であったにもかかわらずすぐに停電の準備に取り掛かっていただくことができました。そして1時間後には停電を行い、蔓を除去することによって、ことなきを得ることができました。

今回、あと数日発見が遅れたら、地絡や短絡事故につながる恐れもありました。そして、「夏場は雑草や蔓が発生しやすい」という情報を得ていたにもかかわらず、蔓のキュービクルへの侵入を防ぐことができなかったことを猛省すると同時に、予想をはるかに上回る植物の生長するスピードには、たいへん驚かされました。

今後の取り組み

もし、雑草が増え、草払い機などを使用する場合、ケーブル損傷の危険もあります。

まずは、高圧引込柱やキュービクル周辺では、蔓などの植物が繁殖する環境を作らないこと。そしてこまめな雑草の除去や、防草シートなどを用いて未然に発生を防ぐことが大切だと思います。

また、お客さまから情報をいただくことも重要です。お客さまには、電気保安のために日常注意していただく事項を必要の都度お伝えするとともに、異常発見時には連絡いただき対応することで事故の未然防止に努めてまいります。