電気事故未然防止例

電気事故未然防止例208温度測定で焼損未然防止

愛媛支部 保安サービス1課 向井 浩三

設備等の状況

設備容量2600kVA、食品製造工場の月次点検を実施していた時のことです。

発見時の状況と対応

いつものように電気室の高圧機器の温度をサーモガン(放射温度計)で測定していました。電路に沿ってサーモガンを動かしていた時、一瞬60℃の表示が出ました。“あれ”と思いつつ過熱部位を探していくと、引込みケーブル赤相の端末端子部分の温度が60℃になっており、他相は30℃でした。負荷電流を確認しましたが、各相ほぼ平衡しており端子部分での異常により過熱していると推測できました。このままでは、過熱から焼損に至る可能性が高いため、連絡責任者に状況を見ていただき、早急にケーブル端末の取り替えが必要である旨を説明し、停電と取り替え工事の準備をお願いしました。

この工場では24時間製造ラインを動かしており、停電できるまで3日を要しましたが、無事ケーブル端末の交換ができました。

工事後、過熱していた端末端子部分を見てみると、端子圧着部分(特殊な材料器具、工具で電線を接続する工事を施した部分)を中心にケーブル絶縁体が茶色に変色しており、また、端子圧着部分を重点的に調べると端子圧着不足が原因と判明しました。

このケーブルは施工より15年経過しておりますが、今まで過熱はありませんでした。それが、2ヶ月前に製造設備を増設したことにより負荷電流が増加し、その上に端子圧着不足による電気抵抗増加も重なって過熱に至ったと思われました。

そのまま放置していれば、焼損事故に発展する危険性もありましたが、幸い発見が早かったため、事なきを得ることができました。もし、発見が遅れていたらケーブル焼損から全停に至る可能性もあり、工場に大きな損害が出ることも考えられました。

今後の取り組み

設備増設など工場設備等に変更があった場合には、サーモガンなどを巧く使用してより注意深く点検をすることが大事だと思いました。