電気事故未然防止例

電気事故未然防止例207機器更新の重要性を再認識

香川支部 保安サービス2課 一藁 常由

設備等の状況

ある工場のお客さま設備について、年次点検を実施した時のことです。

発見時の状況と対応

工場の昼休みを利用して停電による年次点検を計画していました。当日は天候も良く予定通りの作業に取りかかりました。工場を全停電させようと低圧ブレーカーを開放した後に、高圧設備を全停電にするため、地絡継電器のテストボタンで高圧区分開閉器(以下PAS)の動作テストを実施しましたが、テストボタンではPASの開放動作をしませんでした。「これは、保護継電器の不良かな」と考え、PASを手動により開放して、点検作業を開始しました。

点検作業は問題なく終了したので、PASの投入を行いましたができません。そこで操作紐に力を入れ、何度も引っ張ったのですが、PASのハンドルは一向に動かず、やはり投入できませんでした。このままでは、送電ができないので、お客さまに、「老朽化によりPASの動作が悪くなっており、PASの取り替えをする必要があります。」と説明すると、ご理解いただきすぐ電気工事業者さんを手配することができました。その日のうちに、新品のPASに取り替えて、送電を無事終えることができました。

取り替えをした古いPASの蓋を開けて内部点検をすると、結露など水の浸入により金属機構部分に錆が発生していたため、操作紐が動かず投入不能となっていました。

今後の取り組み

使用開始から20年以上経過した高圧機器は、問題なく使用できているように見えますが、屋外に設置した高圧機器については、故障する恐れがあるため、計画的な取り替えが望まれます。

また、経年劣化が進んでいる高圧機器をそのまま使用していると、故障により自社の停電だけでなく、電力会社の配電線を停電させ、周辺一帯までも停電させてしまうような波及事故につながる恐れもあります。

今回の事案では、定期的な年次点検時に発覚しましたが、このまま使用していると波及事故に発展する恐れもあったので、改めて高圧機器の更新の重要性を、お客さまにも再認識していただけました。