電気事故未然防止例

電気事故未然防止例204停電点検により高圧カットアウトスイッチのひび割れを発見

徳島支部 保安サービス2課 岡田 憲治

発見時の概要

年次点検のため、家具販売をされているお客さまを訪問した時のことです。停電して、高圧受電設備の外観点検や清掃を行いながら、各機器についての詳細な点検を行っていました。すると、高圧カットアウトスイッチ(写真参照)側面の通常の目視点検では見えにくい位置に、わずかなひび割れが生じているのを発見しました。

このような事例では、できるだけ早く高圧カットアウトスイッチを交換する必要があります。しかし、当日予備品はなく、他に問題点もないようなので、短期間であれば使用可能と判断し、約束していた停電時間どおりに点検作業を終えました。このまま使用すると、更に劣化が進み事故に発展する恐れもあることから、お客さまに点検結果を報告するとともに、早急な取り替えが必要な旨をお伝えしました。

後日停電を行い、ひび割れのあった高圧カットアウトを取り替えたところ、ひび割れた部分以外にも劣化が見られ、早期改修できたことで、電気事故に至らず良かったと胸をなでおろしました。

今後の取り組み

受電設備は、通常6,600ボルトで充電されているため、日常の点検では外観点検および電圧・電流・漏えい電流などの測定、異音発生や温度上昇などの異常の有無の確認をしますが、これ以上詳細な点検はできません。このため、年次点検などでは、停電して清掃・絶縁抵抗の測定・保護継電器の試験・機器の内部点検など充電状態ではできない点検を行う必要があります。

最近は、24時間サービスを提供しているお客さまも多く、また高度情報化により電気を止めると、業務に支障をきたす機器も多く存在するなど、停電をする時間帯の調整が非常に難しい施設も増えてきております。お客さまからは、「停電はできるだけ短時間で済ませてほしい」との要望も少なくありません。

しかし、電気設備の点検では、停電させないと確認したり、触わることができない機器も多くあります。また、電気設備も気付かないうちに老朽化して思わぬ故障を招き、その結果お客さまの設備だけでなく、電力会社の配電系統を止めるような波及事故に発展する恐れもあります。こうしたことから、これからも、お客さまに停電を要する点検の重要性や定期的な設備更新の必要性を説明し、ご理解、ご協力をいただきながら、電気事故の未然防止に努めていきたいと思っています。