電気事故未然防止例

電気事故未然防止例203太陽電池パネルのひび割れを発見

香川支部 丸亀事業所 森 雄嗣

設備等の状況

施工してまだ1年ほどしか経過していない売電専用の太陽光発電所(発電容量500kVA)のお客さまを8月に定期点検でお伺いし、太陽電池パネルの外観を目視点検していた時のことでした。

発見時の状況と対応

構内柱、パワーコンディショナーの点検を終え、太陽電池パネルの外観および接続箱の点検を開始しました。当該事業場は地面に架台を設置し、架台上に太陽電池パネルを取り付ける方式で1,736枚を設置しており、1枚1枚目視でパネルの表・裏が点検できるようになっています。

点検を三分の一ほど終えた時、表面が少し歪んだ太陽電池パネルを発見しました。
異変を感じ、詳細に観察してみると、パネル表面全体にひび割れを起こしていました。また、パネルの裏側は、一部が薄茶色に変色していました。

放射温度計で温度測定したところ、そのパネルのまわりの太陽電池パネルは裏面温度が、40~50°Cでしたが、この太陽電池パネルは裏面温度が90~100°Cまで上昇し、過熱状態でした。

直ちに接続箱内の該当回路のブレーカを開放しました。
引き続き他のパネルの外観点検を続けたところ、同じような状態で、過熱を起こしている太陽電池パネルが4枚も見つかり、点検終了後すぐに、それぞれの該当回路のブレーカを開放しました。

こうした太陽電池パネルの異常とブレーカを開放したことを、お客さまと管理会社に報告したところ、替わりの太陽電池パネルが入荷次第、メーカーにて取り替えを実施するということでした。

翌日、運転状況を確認するため、再度お伺いしたところ、異常が発見された太陽電池パネルの過熱は治まった状態になっており、他の部分は平常運転していました。

その2週間後には太陽電池パネルの取り替えも完了し、100%の発電運転を無事再開させることができました。

異常箇所は広範囲に散らばっていたため、発電量もかなり減少していましたが、このまま放置しておいた場合、電気火災発生の可能性も十分考えられたことから、今回の点検により太陽電池パネルの異常が早期に発見でき、お客さまからも大変感謝されました。

後日、太陽電池パネルメーカーからひび割れ原因の調査結果の報告が送られてきましたが、石等があたった痕跡もなく直接的な原因は判明しませんでした。

考えられる可能性としては「施工時に太陽電池パネルの角が、隣接する太陽電池パネルと接触した時小さなひびが入り、その部分に雨水が浸入した結果、表面全体がひび割れを起こし、電気抵抗が増大したことで過熱したのではないか」とのことでした。

今後の取り組み

太陽光発電所における太陽電池パネルの点検は、枚数も多く広範囲で、しかも設置場所や設置方法も様々で、点検が難しい設備、裏面の点検が不可能な設備などもあります。

また、今回のように設置後一年程度しか経過していない比較的新しい設備であっても状況によっては、急速に劣化が進行して、一歩間違えれば電気火災などに発展する場合もあります。これからも、常に注意深く点検を実施し、異常の早期発見と電気事故の未然防止に努めていきたいと思います。