電気事故未然防止例

電気事故未然防止例201五感を働かせた点検により電動機の冷却ファン破損を発見

徳島支部 保安サービス1課 三好 浩

設備等の状況

化学工場のお客さまへ定期点検でお伺いし、工場内の低圧電気設備を点検中のことです。

発見時の状況

高圧受電設備の点検を終え、工場内を巡視点検していると、送風機(55kW)が運転しているにもかかわらず、電動機の音が通常より静かだなあと感じました。そこで、電動機に近づくと肌に熱気を感じたので、サーモガンで温度を測定してみると、電動機の表面が100℃にも上昇していました。しかし、電動機の負荷はいつもと同じようなので疑問に思い、よく観察してみると電動機の冷却ファンが破損しているのを発見しました。冷却ファンが破損し風の音がなくなっていたことより、通常運転時より静かに感じたのでした。

通常、電動機には電動機用のモーターブレーカーやサーマルリレー付マグネットスイッチが電源側に設置されており、大きすぎる負荷がかかった場合や電源の電圧に異常があった場合(欠相等)には、電動機の電流が大きくなるので、それを検知し電動機を停止させ、焼損を防止するようになっています。

今回の事例では、運転電流は通常と変わらないまま、電動機の温度が上昇してしまったため、焼損防止装置が働かない状態となっていました。このまま使用を続けると電動機が焼損し、工場の操業に大きな影響を与えてしまうおそれがあります。早速、連絡責任者の方に状況を説明し、修理を依頼したところ、すぐに修理を行いたいとご了解をいただきました。

今後の取り組み

定期点検時には、電動機の異音の発生・温度上昇・運転電流などを総合的に判断して、異常の有無を判定しております。点検に当たっては、電流計やサーモガンなど複数の測定器を使って、異常の発見に役立てておりますが、やはりまず、視・聴・嗅(きゅう)・味・触といった五感を大切にして、いつもと違うという感じをつかむ事が異常を発見するはじめの一歩なのだと、あらためて認識させられました。今後も測定器とあわせて、五感を働かせた点検を行い、電気事故の未然防止に努めていきたいと思っています。