電気事故未然防止例

電気事故未然防止例198問診の重要性を再認識

須崎事業所 橋本 卓也

設備等の状況

砕石プラントのお客さまへ月次点検のため訪問した際のことです。

発見時の状況

お客さまの連絡責任者に「電気設備に異常はありませんか?」と問診したところ「電気室のブレーカが時々動作し、破砕機がその度停止するので困っている」との相談を受けましたので早速に、原因調査を開始しました。

電気室の配電盤に設置されたブレーカ(定格電圧100V、電流20A)には三本のVAケーブル(電線)が接続されていましたが、それぞれの回路名は表示されていませんでした。

それぞれのケーブルを追って回路を調べると、一本目の回路は破砕機の運転を操作する制御用回路に配線されており、ブレーカが動作する度に破砕機が停止していました。

二本目は、破砕機等を運転する操作室の照明・換気扇・電熱器それとエアコンに配線されており、使用状況によって負荷電流が20A以上流れ、ブレーカが過負荷で動作する直接の原因となっていました。

原因は特定できたものの念のため最後の三本目のケーブルも調査すると、電気室に併設した低い建物の屋根へ上がっており、屋根の上でケーブルが束ねられていましたが、ケーブル先端の充電部が露出し、トタン屋根に接触しかかって、まさに漏電や感電事故につながる危険な状態でした。

応急処置

  1. ブレーカの動作原因となった過負荷については、操作室の電熱器とエアコンを同時に使用すると過負荷となることを説明し、対応をお願いしました。また、破砕機の制御回路は電気室にブレーカを増設して専用回路にするよう提案しました。
  2. 充電部が露出していたケーブルは、お客さまのご了解の上、ブレーカ負荷側で配線の切り離しを行い、ケーブルの撤去を電気工事店にて行っていただくようお願いしました。

今後の取り組み

今回は、ブレーカが動作する原因を調査中に別の充電部露出箇所を発見し、漏電や感電事故等を防ぐことができ、電気設備の変更・異常等をお聞きする問診の重要性を再認識いたしました。このように思わぬところから停電や感電事故の原因となることがあります。当協会では、漏電・故障による停電の未然防止や早期対応のため、月次点検・年次点検時には、受変電設備や負荷設備の点検測定に加えて、行先不明回路の調査や、各ブレーカの負荷測定等を行っています。電気を安心・安全にご使用いただくために、お客さまの電気設備変更等計画がございましたら、ご遠慮なく当協会にご相談いただくようお願いします。