電気事故未然防止例

電気事故未然防止例197多回路用漏電探査機の活用により単発的な漏電を早期特定

徳島支部 保安サービス2課 松永 博史

設備等の状況

事務所ビルのお客さまで絶縁監視装置が動作し、事故対応した時のことです。

発見時の状況と概要

ある朝、事務所で書類整理をしていると、当番者より絶縁監視システムにて私が担当しているお客さま絶縁監視装置の「地絡発生」警報が出ているとの連絡を受けて、直ちに当該お客さまへ緊急出動しました。

到着後、お客さまに事情を説明して絶縁監視装置を設置しているキュービクルへ向かいました。絶縁監視装置の検出器に電灯回路漏電の表示があり、漏れ電流を測定すると、3階の電灯回路が漏電していました。

早速、3階電灯盤に移動して漏れ電流を測定しましたが、漏電していません。そこで、再度キュービクルの絶縁監視装置を確認したところ、漏電は既に復旧していました。しばらくキュービクルで待機していると、再び絶縁監視装置が動作しましたが、数分間でまた、漏電が復旧してしまいました。

このような場合、単発的に漏電を繰り返し、時間や周期も不定期となることが予測され、また電灯盤の回路数も多いため、漏電箇所の特定に時間がかかることが懸念されました。

しかしこのままでは、電気事故につながる恐れもあり、速やかに漏電箇所や原因を突き止めることが必要です。そこで、協会が保有している多回路用の漏電探査機のうち、8回路まで同時に漏電と発生時刻等の記録が可能な探査機を取り付けて、絶縁監視装置の動作時刻と比較しながら漏電探査を進めて行くことが有効であると判断しました。お客さまにもその旨を説明し、早速探査機を取り付けることにしました。

原因および処置

絶縁監視装置の警報発生ごとに探査回路の切り替えを行い、翌日2回目の警報発生時にお客さまを訪問したところ、電灯コンセント回路に漏電表示があり、絶縁監視装置の動作時刻とも一致していたことから、当該回路が不良であると特定することができました。

次に、当該回路のコンセントや機器の点検を実施したところ、事務室のフロアコンセントの1カ所が固定不良となっており内部点検の結果、電線の被覆が金属部と擦れて損傷していることが判明しました。

直ちに、損傷箇所電線のテープ巻き修理とコンセントの固定を実施いたしました。

お客さまには今回の漏電に至った原因の説明と改修が完了したことを報告し、安心していただくことができました。

今回、単発的に漏電した原因は、事務所内を歩行する際にコンセントに触れた時の振動等により電線と金属部が接触した時のみ漏電していたためでした。

今後の取り組み

今回は、絶縁監視装置と多回路用の漏電探査機により、単発的な漏電の原因を早めに特定・修理でき、電気事故などの大事に至らなかった事例でした。協会では、今回使用した漏電探査機を含めて新しい測定器も次々導入しておりますので、それらを有効に活用することにより、迅速な調査と復旧にこれからも努めていきたいと思います。