電気事故未然防止例

電気事故未然防止例196保護装置の重要性を再認識

愛媛支部 八幡浜事業所 萩森 一彦

設備等の状況

ある学校から停電の報告を受け、故障応動した時のことです。

発見時の状況と概要

ある日の夕方、「体育教官室のエアコンを使用するとブレーカーが切れることがある、先ほども停電したので確認してほしい」との連絡があり、お客さま(学校)のもとへ出動しました。停電時の使用状況をお伺いし、動作したブレーカーを確認したところ漏電遮断器の動作表示が有りました。早速、絶縁測定、電流測定を実施しましたが原因と思われる不良は発見できませんでした。

再度状況を確認すると、

  1. 授業中にエアコンかけても停電をしたことは無い。
  2. 停電する時には、照明が一瞬チラついたような気がした。
  3. エアコンは、100V・800Wの壁掛タイプの専用回路で過負荷は無い。
  4. 電源は、第1教棟1F分電盤負荷側より分岐しておりその主ブレーカーは、漏電遮断器(過負荷・漏電保護機能付)で動作していない。
  5. 体育教官室のブレーカーは、単3用漏電遮断器(過負荷・漏電・過電圧保護機能付)で、動作した。

「100Vエアコンを運転し、照明がチラついて漏電遮断器が切れる」ということから電圧異常が疑われるので、体育教官室で電圧測定を実施しました。するとエアコン運転時に92V~113Vと不平衡を確認しました。また同様に第1教棟分電盤でも93V~112Vと不平衡が確認されました。
測定結果からキュービクル~第1教棟の間にて異常が発生していると予想されるため、現場確認を実施しましたところ、

  1. キュービクル側の電線がSV60φケーブル
  2. 第1教棟側の電線がCV60φケーブル

以上のように2種類の電線が使用されており、接続箇所がどこかに有るはずと調査した結果、花壇内に忘れ去られたような古いマンホールがあり、マンホール内の接続状態を確かめると、接触不良となっている箇所を発見しました。

今回の原因は、昭和50~60年代にかけて使用されていた接続器具(ボルト型コネクタ)が雨水と経年劣化等により腐食、接触不良となっていたためでした。

早速、お客さまに状況を説明し第1教棟の停電許可をいただき、接触不良となっていた箇所を改修いたしました。

一部の施設とはいえ過電圧保護付漏電遮断器の動作により早期の不良を発見することができ、校舎全体の事故を未然防止できたことは、不幸中の幸いでした。

今後の取り組み

今回の事象を説明し、改めて保護装置の重要性をお客さまにも理解していただけました。電灯回路の主スイッチには、中性線欠相保護付漏電遮断器の設置を推奨し、過電圧、欠相事故の防止に努めるとともに、お客さまとの対話や問診内容をさらに充実することで、異常の早期発見につなげたいと思います。