電気事故未然防止例

電気事故未然防止例195放射温度計により低圧開閉器の接触不良を発見

香川支部 保安サービス1課 保安技師 三好 信仁

定期点検にお伺いし、放射温度計で分電盤等を点検していると『それで、漏電が分かるのですか』とお客さまから声をかけられることがあります。実はこの放射温度計は非接触式の温度計で、開閉器や配線、接続端子等の温度測定に使用するものです。

そんな放射温度計を使用して温度測定することにより、カバー付ナイフスイッチ(CKS)電線接続部の過熱を発見した事案を紹介いたします。

設備等の状況

金属加工のお客さまへ定期点検にお伺いし、事業所内の低圧電気設備の点検中のことです。

発見時の状況と対応

高圧電気設備の点検を終え、放射温度計で低圧電気設備の点検を実施していると1つのCKS付近で50℃程度の表示がでました。

負荷電流は異常なく、また周囲の温度も35℃前後であることからCKSが接触不良を起こしている可能性があると判断し、過熱箇所を特定しようと細かく温度測定をしたところ、CKS負荷側の電線接続部付近で270℃と目を疑うような表示がでました。

一刻の猶予も無い状況だと判断し、周囲で作業していた人に事情を説明、使用している設備の停止とCKSの開放の許可をいただきました。急いでCKSを開放するとほぼ同時に、過熱箇所のプラスチック製カバーから発煙。まさに間一髪の出来事でした。

幸いにもCKSのプラスチック製カバーからの煙はすぐに収まりました。直前に設備を停止していたことと、作業スペースを確保するために周辺の可燃物を撤去していたことで大事には至りませんでしたが、一歩間違えれば火災や火傷等大きな事故となっていた可能性もありました。

過熱していたCKSは即時使用を中止し、新しい物に取り替えていただきました

今後の取り組み

過熱の原因はCKS負荷側電線接続箇所の接触不良によるものでしたが、目視による点検ではこのような不具合はなかなか発見できないものです。今後も細心の注意をはらいながら点検を行っていきますが、お客さまにも、電気設備に異変を感じたら担当保安技師に相談してくださるようお願いしました。これからも、放射温度計等の測定機器を適宜使用し、より精度の高い保安管理をめざしてまいります。