定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.78「切」のままのブレーカー

高知支部 山田事業所 岡村 能光

ある郊外のご家庭を訪問した時のことです。
声をおかけすると60歳代と思われる男性が出てこられました。いつものように、4年に一度の電気の安全調査の内容を説明し、電力メーター付近での漏れ電流測定と屋外の点検を行ったところ、異常はありませんでした。
屋内点検の希望はありませんでしたが、電気のことで何か気になることがないかお尋ねすると、「屋内の分電盤で、ある1カ所のブレーカーを入れるとメインブレーカーが落ちる。以前、電気関係の人に見てもらい、配線が悪いのでやり直してもらってくださいと言われたが、ブレーカーを切ったままにしている」とのことでした。
少し気になりお尋ねすると「分電盤のすぐ下にあるコンセント回路が使えない」と教えてくれました。そして「今は別の場所から延長コードを引っ張ってきて使っており、不便だけどもう慣れた」と話され、玄関を上がって少し奥に入ったところにある、40年は経過しているかと思われる金属製の分電盤のところまで案内していただきました。

最初に、分電盤内で「切」にしているコンセント回路の絶縁抵抗測定をしましたが、異常ありませんでした。次に、お客さまにメインブレーカー(漏電遮断器)が動作して家の電気全てが切れても良いとの承諾をいただき「切」にしている分岐ブレーカーを「入」にすると、メインブレーカーが動作し切れました。もしかすると、異常箇所の配線がショートしているのかと思い、その箇所の分岐ブレーカーの二次側の電線を外し、分電盤から約2m下にあるコンセント回路も切り離して線間の絶縁抵抗測定をしましたが、異常なしでした。まさか、分岐ブレーカー本体が漏電してるのかと、半信半疑で底部が金属製の分岐ブレーカーを確認していると、予備の回路があることに気が付きました。その比較的新しい分岐ブレーカーを外し、不良と思われるブレーカーと入れ替えて配線やコンセント回路を元に戻してブレーカーを入れると、メインブレーカーも切れずにコンセトも正常に通電されました。
お客さまに不具合のあった箇所の説明をすると「何年かぶりにコンセントが使えるようになった」と喜んでくださいました。

いろいろと電気調査の仕事を行ってきましたが、ブレーカー本体が漏電することもあるんだと改めて認識しました。