定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.7628年前のことです…

香川支部 丸亀事業所 中西 正則

早いもので、お客さま宅の電気の安全調査を行い始めてから30年以上の年月が経ちました。この間に県内のご家庭を半数以上訪問し、安全調査を行ってきた中で、私が一番の記憶に残りお客さまから感謝された出来事を紹介したいと思います。

安全調査を始めてから数年経った頃に、若いご夫婦が住まわれている住宅を訪問した時のことです。まず、お客さまに安全調査の概要を説明し、承諾を得て屋外の点検を始め、接地(アース)工事がきちんと施工されているか、雨水がかかる所には防水型の器具が設置されているかなどの点検を行いましたが、不具合な箇所はありませんでした。この時、家を購入後間もないとお聞きしたため当然との思いもありました。

続いて、屋内の分電盤調査を行うために、その場所へ案内していただきました。
すると、なんと、分電盤から煙が出ていて、焦げ臭い匂いもしていました。あわてて分電盤の蓋を開けると開閉器の端子部分よりバチバチと火花が出てきました。とっさに開閉器を開放し火花を止め、ご夫婦に状況を説明しました。
分電盤の取り替えと電線の張り替えが必要と判断し、お客さまから工務店に至急連絡していただき、10分ほどで電気工事店の方が到着し無事復旧することができました。

原因は開閉器の接続端子ネジを斜めに締め付けたために、見かけ上の締め付けはできていたものの接触不良が発生し発熱していました。電気をたくさん使い始めてから初めて気が付くという、通常の安全調査では発見が難しい事案でした。家を購入後間もないことから悪い箇所はないだろうとの思いが一気に吹き飛んだ瞬間でした。

御主人にお話を伺うと、家を購入後半年ほど留守にしており、入居したのはほんの2時間前とのことでした。お子さまが誕生して奥さまが実家から帰られ、今日初めて入居されたその日にタイミング良く私が安全調査に訪問し、電気火災にならなくて本当に良かったと思いました。お客さまからは大変感謝していただきました。

あれから28年後、ふたたび安全調査のために訪問したところ、奥さまは当時のことを覚えていてくださりお礼のお言葉を掛けていただきました。この仕事を続けてきて良かったと思えた瞬間でした。