定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.70なんと、土の中に?!

高知支部 中村事業所 黒岩 潤一

ある年のクリスマスの日でした。寒風吹きすさぶ中、担当地区のお客さまを順番に訪問して電気の安全調査をしていました。

そのうちの一軒で、屋外での漏れ電流測定値が基準値を超えたお宅があり、屋外配線は問題なさそうでしたので、屋内で調査をすることにしました。
お客さまに分電盤まで案内していただき、分岐回路を一つずつ測定していくと、「旧台所」と書かれた回路で異常が見つかりました。
さらに原因を特定するため、旧台所に該当する場所に行くと、昔ながらの土間と板の間がありました。新しい台所ができてからは、物置として使用されている部屋でした。
板の間には、冷蔵庫と小型冷凍庫が置かれていました。どちらかが漏電しているのではないかと思いましたが、調査の結果は、異常ありませんでした。

他に原因になりそうな電気機器を探していると、柱の横にある家庭用餅つき機が目に入りました。そこで、餅つき機の電源コードの先を追っていくと、……なんと! 驚くことに、電源コードが差し込まれた延長コードの差込口の部分が土間の土に半分ほど埋まった状態になっていたのです。
延長コードは差込口が3口のタイプでした。土間の土は湿ってやわらかくなっていたので、おそらく差込口を誤って踏んでしまって埋もれたのでしょう。
壁面のコンセントに差し込まれた延長コードのプラグを抜き、分電盤で測定すると、漏れ電流は基準値内になりました。原因は土に埋まった延長コードだったのです。
餅つき機を近くのコンセントに直接差し込んでみて測定し、異常がないことを確認すると、お客さまから「この延長コードはすぐに捨てて、これからはコンセントに直接差して使う」と言っていただき安心しました。
3日後にはお孫さんたちが集まって、正月用のお餅をつく予定でした。「危ないところを事前に見つけてもらってありがとう」と感謝の言葉もいただきました。

この日は体の芯まで凍えるほど寒い日でしたが、お孫さんたちと賑やかにお餅をつくっているお客さまの姿を想像すると、今でも心がほんわり温かくなってきます。
今後もお客さまに安心して電気を使っていただけるよう、調査業務に取り組んでまいります。