定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.68ぶら下がったブレーカーボックス

香川支部 坂出事業所 二宮 良一

私たち調査員は、電気の安全調査のために、さまざまな場所にお伺いしています。山頂に設置された携帯電話の基地局、離島の灯台など、現地にたどり着くのさえ大変な場所もあります。

自然いっぱいの山間部で調査をした時のことです。点在する民家を一軒一軒訪問した後、ある農業用の電気設備に向かいました。そこは集落から離れており、初めて行く場所でした。地図には載ってなく、頼りになるのは電柱番号だけです。
目的地の電柱番号を頭に入れ、配電線をたどりながら、けもの道のような所をバイクで走行していきました。しばらく行くと、生い茂った草むらになり、前に進めなくなってしまいました。仕方なくバイクを停め、草をかき分け、歩いて現地に向かい、ようやく目指した電柱番号を確認することができました。
しかし、ここで一安心とはなりませんでした。
お客さま持ちの引込小柱に目を向けると、柱に固定されているはずのプラスチックボックスがぶら下がっていたのです。
ボックスにはブレーカーが入っています。取付板が腐食して、固定が外れたのが原因でしたが、引っ張られた電線が今にも外れそうでした。放置しておくと危険です。手持ちの材料をかき集め、どうにか応急処置をすることができました。

あとは、お客さまに改修していただくよう連絡をとろうとしました。ところが、電話番号の登録がなく、連絡先がわかりません。仕方なく、手がかりを得るために、集落へ戻って一軒ずつ聞いてまわることにしました。
そして、「親戚だ」というお家がやっと見つかりました。事情を説明したところ、「本人は入院しているが、息子さんに連絡してみる」と言っていただけました。
後日、「電気工事店に改修してもらった。立ち会いするので、再調査してほしい」旨、息子さんから電話がありました。
約束した日に再び現地に向かうと、取付板が新しくなり、ボックスはきちんと固定されていました。息子さんからは「よく見つけて知らせてくれた」と、とても感謝されました。

調査に向かう先は大変な場所もありますが、四季折々の景色を楽しみながら仕事ができる時もあります。そんな時は「調査員ならではの特権だ」と思いながら仕事をしています。