定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.63どこからか、ガタガタと音がする

徳島支部 調査サービス課 中野 裕樹

徳島市内の閑静な住宅街のお宅を訪問した時のことです。
高齢のご婦人が在宅だったので、電気の安全調査のために伺った旨をお伝えしたところ、「私はこの古い家で独り暮らしです。電気のことはよくわかりませんので、どうぞ隅々まで調べてください」と、屋内調査を快く承諾いただきました。

まず、調査を始める前の問診として、「電気のことで気になる事はありませんか?」と尋ねました。すると、「最近、ガタガタという音が玄関の外から聞こえるようになって心配しています」というお話がありました。
強い風が吹くと音がするとのことです。私は、お話を聞きながら「おそらく電気には関係なくて、トタンか何かが外れているのだろう」と思いましたが、音のしている場所を取りあえず探すことにしました。
外に出て、家屋の上から下まで念入りに見てまわりました。しばらくして、玄関ドアのすぐ横にある玄関灯が目に入りました。よく見ると、カバーが外れかかっているのが確認できました。
風が吹くと、ネジの緩んだカバーが揺れ動いてガタガタと音がしていたのでしょう。原因は照明器具だったのです。
さらには、カバーが動くせいで、灯具と建物との固定部分のネジも外れる寸前の状態になっていました。加えて、配線接続部の被覆の劣化も見つかりました。
このままでは、雨水が浸入し、漏電が発生するおそれがあります。また、建物との固定部分が外れると、配線に負担がかかり危険な状態になるため、処置が必要です。お客さまには玄関灯が原因だったことを報告し、カバーと固定部分をそれぞれネジ止めし、配線接続部には新たにテープを巻きました。
処置が済み、お客さまに「これでひとまず安心です」と申し上げると、たいへん感謝していただきました。

お客さまへの問診から得るキーワードは調査業務において、とても大切です。今回、電気には関係ないだろうという私の思い込みが強ければ、不具合箇所を発見できなかったかも知れません。お客さまのお話を注意して聞き取ることの重要性を認識した出来事でした。
4年に1度の電気の安全調査だからこそ、私たちは非常に重要な存在であることを自覚し、これからも電気の安全を守っていきたいと思います。