定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.60乾燥機の取っ手でピリピリ

香川支部 調査サービス課 大西 崇之

ある日の夕方、数時間前に定期調査で訪問しご不在であったお客さまから、「キッチンにある吊り下げ式の食器乾燥機に触るとピリピリすることがある。漏電しているのだろうか?」というお問い合わせがありました。

お客さまは、1週間前の初回訪問時もご不在で、2回目訪問となったその日は、ご不在の場合の調査手順に従って、屋外で配線等の目視点検や漏れ電流測定を行いました。その結果、電灯回路に異常はありませんでしたが、動力回路(農業機械用)の引込口配線であるCVケーブルが紫外線により劣化し、ヒビ割れが生じていました。
帰宅されたお客さまは、この調査結果を記載したお知らせ票をご覧になり、「食器乾燥機に触るとピリピリしていたのは、動力の引込口配線のヒビ割れと関連しているのかも知れない」と思われたようでした。私は原因特定の必要性を感じ、翌日訪問するお約束をしました。
そして翌日、お客さま宅に到着後、漏れ電流測定をしましたが、前日と同じく測定値に異常はなく、また、問題の食器乾燥機も外見上は異常ありませんでした。
お客さまにこれまでの状況をお聞きしたところ、「漏電ブレーカーは、動作したことが無い」とのことでした。漏電ブレーカーの故障を疑い、停電の許可をもらい動作確認しましたが、異常ありませんでした。また、食器乾燥機の専用回路の絶縁抵抗測定の結果は良好で、本体の接地線もコンセントの接地極に取り付けされていました。
そこで、念のためにと食器乾燥機の取っ手で対地電圧を測定したところ、驚いたことに計測器は「100V」の値を示していました。その原因として本体側の接地線取り付けに疑いを持ち、食器乾燥機の上部パネルを外して確認すると、取り付け箇所にゆるみがあることが判明しました。
その後すぐ、接地線を端子にしっかりと取り付けをし、再度測定すると正常値の「0V」を示し、絶縁抵抗測定結果も良好でした。

ゆるみはご使用の際の振動等によるものと推測され、ピリピリしていたのは接地線の接触不良により静電誘導が発生していたものと思われます。
お客さまに修理したことをお伝えすると、「ずっと不安だったが、これで安心できる」と感謝の言葉をいただきました。そして、「動力の引込口配線のヒビ割れは、早めに電気工事業者さんに相談してみる」とおっしゃっていただきました。

これからも、お客さまに安心して電気をお使いいただけるよう、丁寧な仕事を心がけて、電気の安全を守っていきたいと思います。