定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.54アパートまるごと大改修!

高知支部 調査サービス課 前田 英雄

入協してもうすぐ1年が経ちます。定期調査業務で分からないことや疑問点は、先輩方からアドバイスをいただきながら経験を積み重ねてきました。その中でも印象に残る体験についてお話しします。

初めてアパートの電気の安全調査をすることになり、管理会社との打ち合せの後、各部屋のお客さまへ「事前のお知らせ」をお配りしました。

当日、あるお客さまの電力量計付近で漏れ電流を測定すると、基準値(1mA)を超える2.23mAを表示していました。絶縁不良の恐れがあると判断しましが、お客さまが不在だったため「調査結果と再調査のお願い票」をポストに投函して連絡を待ちました。

 お客さまから連絡があり、立会いのもとでブレーカーを確認してみると主開閉器や漏電ブレーカーがありませんでした。次に停電時の絶縁抵抗を測定すると、基準値(0.1MΩ)を下回る0.03MΩを表示していたため設備を点検するとリビングに配線されている回路が漏電していました。そのことをお客さまに説明してすぐに電気工事会社に改修を依頼するようお願いしました。

 電気工事会社から改修工事が完了した旨の連絡があり原因を聞くと、漏電していた回路の配線を切り離して電線を見てみると、被覆が劣化し銅線が露出している状態で他の場所に接触していたための漏電であったことが分かりました。不使用のコンセント回路ということで漏電箇所を取り除き改修を完了したとのことでした。

後日、再調査で絶縁抵抗測定により漏電していないこと確認し、お客さまに安心してもらいました。お客さまから「漏電していたことを知らないまま生活していたことが怖かった。他のお住まいの方も同じ状況になるかもしれないので、保安協会さんから管理会社の方に漏電ブレーカーの必要性について説明していただけないか」と依頼されました。

 そこで、管理会社に漏電の危険性や漏電ブレーカーの必要性や「漏電していたことを後から知ってとても怖かった」とのお客さまの声をお伝えすると、「すぐに残りの部屋についても漏電ブレーカーの取り付け状況を確認し、取り付けがされていないお住まいについては工事を行います」と心強いお答えをいただきました。その後、アパートまるごと改修工事が実施されすべてのお客さま宅に漏電ブレーカーが取り付けされました。

 この体験で思ったことは、お客さまへの問診や会話の中で見えてくるものや、それが原因の特定につながる可能性があるということがわかりました。今後も広い視野を持ち、電気設備の異常発見に努め、お客さまに安全と安心を届けていきたいと思います。