定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.53これは、一人では工事できない!

愛媛支部 事業部 調査サービス課 中務 清

電気安全調査のため、お客さま宅を訪問し、漏電調査の承諾を得て測定したところ、230mAの漏れ電流を検出しました。お客さまに漏電の疑いがあることをお伝えし、屋内分電盤にて停電し測定すると、絶縁状態は異常ありませんでした。さらに念のため、電力量計から屋内分電盤までの調査作業に入りました。分電盤の主開閉器を開放した状態で電力量計の二次側を切り離し、電線の絶縁状態を測定したところ、赤相のみが0.03MΩであり、電力量計二次側から屋内分電盤の一次側までの配線が絶縁不良であることが判明しました。お客さまに「漏電の疑いがあるため、工事業者に確認をしてください」とお願いしたところ「年の暮れ、急に言われても困る。息子と相談して電気工事店に来てもらうから」とのことでしたので、改修内容を示した改修通知票をお渡し、お客さま宅を後にしました。

一週間後、工事業者から「不良箇所がよくわからない」との相談がありました。後日、工事業者に連絡をとり、お客さま宅で、私の測定方法を見ていただきました。工事業者の方は、「これは、一人では工事できない」と、大急ぎで応援の電気工事業者を呼んでいました。私は、これ以上お客さまにご迷惑をお掛けする訳に行かず、工事業者2名の改修工事を見守ることにしました。

天井裏に上がってみると、雨漏りしている箇所がありました。幹線を固定しているステップルが強く打ち込まれ、ケーブルが裂けた部分から漏電していることが判りました。業者は工事材料を整え電線を張り替えました。無事に改修工事も終わり、再調査の絶縁測定値も10MΩと良好になっていました。お客さまには「電線にキズがあり、湿った環境により絶縁状態が悪くなっていました」と報告すると、「天井裏での改修工事、ご苦労さまでした。目に見えない場所からの不安が払拭しました。電気火災などになる前に発見できてよかったです」と感謝されました。電気工事業者の方も「漏電を的確に指摘していただき、隠れた場所での発見につながりました。改修工事のやりがいがありました」とのことでした。

今後も、このことを教訓として改修通知票をお客さまにお渡しする際には、「内容がわからない時は、工事業者の方から四国電気保安協会の担当者に連絡してください」と、言葉を添えてお願いすることが大事だと思いました。