定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.46四国電力株式会社との連携で問題解決

高知支部 調査サービス課 岡本 清一郎

ちょうど1年前、入協して初めて迎えた冬の寒い日、お客さまを訪問して定期調査していた時のことです。
午前中に訪問したお客さまで、電力メータの一次側の配線で漏れ電流計による漏電調査を行ったところ、基準値の1mAを超えていました。そこでIor測定ユニットを使用して再測定しましたが、やはり基準値を超えていました。お客さまに屋内点検の了解を得て、屋内分電盤の各回路で絶縁抵抗計を使用して調査しました。すると基準値である0.1MΩ以上でした。少し疑問をもちつつ、隣のお客さまの漏電調査に向かい、測定したところ漏れ電流計およびIor測定ユニットによる調査結果は基準値を超えており、屋内分電盤での調査では基準値を満足していました。

こうして2軒続けて同じような現象になったことから、検電器で電力メータ一次側を確認したところ、黒線が鳴動せず、赤線と中性線が鳴動していました。こうしたことから、前に協会のホームページで見た「調査業務による体験談24」の中で、付近で漏電が発生した時に中性線が鳴動する事例があったことを思い出しました。そこで、同一トランスから引込まれている3軒目のお客さまの調査も行いました。すると、これまでの2軒のお客さまと同様の結果であり、やはり漏電箇所を特定することはできませんでした。

単独でのこれ以上の調査では多くの時間を要することから、所属の調査員に現地に来てもらい漏電箇所特定をするため、さらに調査をすることにしました。引込線の目視確認に加えて、高所クランプメータでも引込線を確認しましたが、1、2軒目のお客さまは電力メータ一次側で測定した値と同様であり、3軒目のお客さまは引込線がラッシングされていたので測定できませんでした。

これ以上の調査は、我々では難しいことから、四国電力株式会社に協力依頼しました。引込柱(トランス柱)に登って調査したところ、3軒目のお客さまの引込線で7A漏れていることが判明しました。続いて漏電箇所を特定するため、引込線以下の引込小柱(鉄柱)~配電盤までの配線を確認しました。すると地上からの目視確認では不良箇所を特定できませんでしたが、はしごに登って確認したところ、引込小柱の縁廻し部分で黒線の被覆が劣化して引込小柱と接触していました。おそらく長年の風雨でケーブルが揺れてこすれたことから被覆が劣化して、引込小柱と接触したと想定できました。

早速、不良箇所をテープ巻きによる絶縁処理をし、また引込線が引込小柱に接触しないような処置をしたところ、漏れ電流は基準値を満足し、また検電器での中性線の鳴動もなくなりました。こうして無事、今回の問題を解決できました。
翌日、3軒目のお客さまに屋外の小柱で漏電していたことや、テープ巻きなどによる改修をしたことをお伝えして、定期調査を完了しました。

今回は不良箇所を自分で特定しようとした結果、問題解決までに時間を要してしまいましたが、お客さまのためにもより迅速に問題解決できるように、組織の枠を超えて関連部門とも協力していくことも重要だと再認識しました。また、漏れ電流計に異常な値が表示された場合は、電力メータ付近での漏れ電流測定だけでなく、高所クランプメータを使用して引込線で測定することも重要です。これからも電気の安全を阻害する要因を少しでも取り除いて、お客さまが安心して電気をご使用していただけるように取り組んでいきます。