定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.45倉庫で絶縁不良を発見した時のこと

愛媛支部 調査サービス課 林 泰志

入協して3年が経過しました。調査業務をはじめた頃は、怪しまれることやいやな顔をされることもあり、お客さまとの対応に苦労しました。しかし、業務を続けていくうちに、電気設備の不良箇所を発見し、お客さまから喜ばれたことがきっかけとなり、仕事のやりがいというものを実感できるようになりました。

その中でも、とくに印象に残っているある倉庫での定期調査についてお話します。
お客さまに挨拶をして、おもての電力量計のところで漏れ電流の測定を行いました。「倉庫なので、特に問題ないだろう」と思っていました。電灯と動力の契約のあるお客さまで、測定を行ったところ、動力回路の数値がオーバーレンジを示しました。そこで再度確認のためアンペアレンジに切り替えて測定を行いました。すると、1.35Aという異常な漏れ電流値が表示されているではありませんか。

直ぐに、お客さまにその状況と屋内点検の必要性を説明して、了解を得て屋内点検を行いました。分電盤を確認すると、30AのCB(サーキットブレーカー)が一台のみの回路でした。漏れ電流計でCBの2次側を測定すると、先ほどと同じ値でした。負荷設備は、コンプレッサーであり、不良箇所を発見するために、停電をしての絶縁測定を行いました。CB開放後、R、S、Tの各相と大地間の絶縁測定を行ったところ、S相の測定値が0MΩと絶縁不良でした。

そこで調査をすすめていくと、壁の合板の下にCVケーブルが埋設されていました。さらに調べていくと、電気工事が終了した後、内装業者が合板を固定する時に使用した釘が、CVケーブルを貫通して地絡を起こしていることがわかりました。お客さまに状況を説明して至急改修が必要なことをお伝えしました。お客さまは、「日頃使わない倉庫だから、まさか?と思っていたけど…火事になる前に発見してもらってよかった。」と、ホッと安心しておられました。

この事例では、お客さまに4年に一度の定期調査の必要性を再認識していただけました。普段問題なく使用している電気設備や電気機器については、使えれば異常はないと思いがちなところがあります。しかし本当に電気を安全に使用していただくためには、お客さまへの電気の使い方についての問診を重ね、不良箇所を見逃さず、小さなほころびも必ず見つけるという気持ちで、これからも調査業務に従事していこうと考えております。