定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.43問診の重要性を再認識

徳島支部 調査サービス課 瀬川 和樹

今回は、お客さまの調査を実施するため、ある幼稚園を訪問した時の出来事です。

お客さまに訪問した意図を説明し、電気設備の安全点検を実施することへの了解をいただきました。早速引込配電盤へ向かい、電力メーターの一次側の配線で持参した大口径クランプメータを用い漏電調査を実施したところ、電灯回路で基準値の1mAを大きく上回る8mAを記録しました。「あれ、測り間違えかな?」と思い何度か測定し直しましたが、やはり8mA前後でした。すぐにお客さまへ「電灯の回路で漏電している恐れがあります」とお伝えし、各分電盤での個別測定を開始しました。調査の結果、職員室内の分電盤で漏電している可能性が高いことがわかりましたが、その分電盤の主幹線はクランプメータが入らず、各ブレーカーが1P1E回路であったため、ブレーカーを開放して絶縁抵抗を測定する必要がありました。お客さまにその旨をお伝えし、16時以降なら停電できるとのことでしたので、それまで待機することにしました(空いた時間で動力回路の調査を実施、良好)。

「昨年度の点検以降で、改修工事や施設の変更等、何か心当たりはございませんか?」とお客さまにお聞きすると、「少し前に職員室内の照明をLED型に取り替えた」とのことでした。「取替工事の段階で漏電させたのかな?」と考えました。

停電可能時間となり、ブレーカーを開放し測定をしたところ、1回路で0.01MΩを記録しました。絶縁不良の回路だけを切り、不良箇所を特定できないかと考えましたが、照明回路はすべて点灯し異常はありませんでした。

「その他に何か思い当たることはございませんか?」と再度お客さまにお聞きしたところ、別の職員の方から「かなり前に、急に使えなくなった床用コンセントがある」との回答がありました。そこで、「まさか!?」と思いながら、該当の床用コンセントを調査しました。すると、充電している側の電線が断線し、金属部に触れ漏電していました。職員の方が誤って蹴ってしまったり、椅子のキャスター部でぶつけたりしてコンセントを痛めたものと考えられました。応急処置で充電部をテープ巻きすると、漏電していないことが確認(20MΩ)できました。お客さまに状況を説明し、確認していただき、修理をお願いすると、翌日すぐに改修していただけました(後日再調査結果、20MΩ良好)。

電気設備の漏電測定・目視だけではわからないことも、お客さまに問診することにより、前回調査以降での電気設備の変化等を事前に把握することで、異常を発見できるケースがあります。

今回はその問診で運よく早期に不良箇所を見つけることができ、感電被害・漏電火災を未然に防ぐことができました。やはりお客さまへの問診は重要だと再認識できた調査となりました。今後も「お客さまのための調査」を第一に邁進していきます。