定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.41タンスの後ろにある見えないコンセント

愛媛支部 大洲事業所 松本 寅男

年々、中山間地域では過疎化が進み、4年ぶりに定期調査に来てみると空き家が増え、独り暮らしの高齢者宅も多くなっていました。

そんな地域のある高齢者宅に定期調査にお伺いした時のことです。屋外の目視点検と漏れ電流測定を実施した後、お客さまの了解を得て屋内の分電盤を目視点検いたしました。お客さまに「電気のことで、気になることはありませんか?」とお尋ねすると、「たんすの後ろのコンセントにもう一つプラグを差しこんでいるのだが、どうなっているのか見てくれ」とのことでした。懐中電灯で、たんすの隙間を覗くとコンセントが黒く焦げているように見えました。

そこで、お客さまと一緒にたんすをずらして確認してみると、コンセントと差し込んだプラグが焦げて炭化していました。驚いて、お客さまに「このままでは火災の恐れがあるので危険です。」と説明し、コンセントからプラグを抜きました。そして「必要であれば電気工事店に依頼して、新しいコンセントを取り付けてください。」とお願いしました。

「どうしてこんなことになっているのか」と聞かれたので、「原因は、延長コードのプラグとコンセントが半分くらい抜けた状態で緩く差し込まれたまま使用していたため、接触不良をおこして過熱し炭化したためです。」と説明すると、「この部屋には、コンセントが1つしかなく、コンセントの前にたんすを置いたので、延長コードを利用していた。コンセントが焼け焦げているなどと思いもしていなかった。火災などの大事になる前に発見してもらい良かった。」とホッとされ、喜んでおられました。

日々の定期調査では、お客さまによっては調査を拒否される方、不審な業者と間違われ、疑いの目線で対応される方なども時々おられ、少し気分が重くなることもあります。しかし、こうしたお客さまとの対話をきっかけとして不良箇所が見つかり、火災などの電気事故を未然に防止でき、大変喜んでもらえる場合も多々あります。電気の安全調査の折にはパンフレットをみながら、日頃の電気の安全点検をお願いしておりますが、「家具の後ろや見えにくい場所で使用しているコンセントは、プラグをコンセントにしっかり差し込んであるか、コンセントやプラグにほこりが溜まっていないかを定期的に確認してください」と一言声をかけるように心がけています。