定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.33点検時は、思い込みを捨てて

徳島支部 調査員 後藤 義明

定期調査のためにある山間部のお客さまを訪問した時のことです。

まず、定期調査に当たって、実施内容の説明や電気設備の異常確認等の問診をし、お客さま立会いのもと、点検を開始しました。

引込み線から順次点検をし、電力メーターの漏れ電流を測定したところ、1.6mAと過大でした。そこで、お客さまに漏電箇所を特定するためには、停電作業が必要であることを説明しました。停電のご了解を得たので、屋内での家電製品の使用状況など、停電に問題が無いか一緒に確認したうえで、漏電調査を実施しました。すると、分電盤のスイッチ二次側に絶縁不良(0.01MΩ)の回路がありました。そこで、お客さまに「不良箇所以外には今、電気を送っていますので、停電している箇所の確認をしてください」と伝えました。すると、「台所回りの照明やコンセント回路が停電している」とのことでした。そこで、その台所設備のなかに不良箇所があり改修が必要であることを説明しました。なお、お客さまには「不良回路ではありますが、台所の電気を使用できるように電気は送りますが、早急な改修が必要です」とお伝えし、電気工作物調査結果通知表を発行しました。また、分電盤の不良箇所には絶縁不良シールの貼付をしました。定期調査終了後に、お客さまが「山間部のため電気工事業者も近くに無いので紹介いただきたい」とのことでしたので、お客さま宅に近い工事業者を紹介して、電話をしていただき、早期改修をお願いしました。

数日後、お客さまより電話があり「工事業者が改修に来ましたが不良箇所が特定できないため、改修に時間がかかりそうなので、しばらく現状で使用を続けてほしいと言って帰られました。このまま、漏電を放置していても大丈夫ですか」との質問内容でした。そこで、「明日、お客さま宅の近くまで仕事で行きますので、再訪問してもう少し調査してみます」とお約束しました。

前回点検した箇所以外の、台所回りを詳細に調べていると、台所の窓から屋外への配線を発見しました。早速、屋外へ出て確認してみると、同一回路から屋外コンセントを取り付けており、風呂用ボイラーに接続されていました。コンセント回路よりボイラー回路を切り離して、測定をしてみるとボイラー機器本体が絶縁不良であることが判明しました。そこでお客さまにボイラー設置業者に改修依頼をするよう伝えました。

今回の不良調査においては、原因が判明しましたので、電気工事業者にも説明して了解をいただき、また、私もお客さまも大事に至らず安心しました。

これからも電気を安心してお使いいただくために、4年に一度お客さまの電気設備の点検・調査を行ってまいりますが、今回のように思わぬ箇所に配線や器具の取り付けがある場合も考えられるため、既存の思い込みを捨て、さらに慎重に新しい目で、周囲の確認等を実施していくことが大切だと思いました。