定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.31電気安全 今昔ものがたり

愛媛支部 調査員 横山 弘志

他業務についていたため、久々に調査業務に従事して1年が経ちました。
そこで、15年前とは変わった電気安全への意識や、調査業務に関するお客さま対応の変化などをお話ししたいと思います。

当協会では、四国電力から委託を受け、法律に基づき4年に一度、お客さまの電気設備の点検・調査を実施しています。しかしながら、最近では不審な訪問業者や当協会を装った詐欺事例も発生していることから、屋内点検に消極的なお客さまが増えてきました。これは、電気安全を守る私たち調査員を悩ませる事です。

ある新築のお客さまを定期調査でお伺いした時のことです。
屋外で漏れ電流を測定した後、了承を得て、屋内にある分電盤内の点検をするため外扉を開きましたが、さらに内扉を開くとブレーカーを切ってしまう可能性があることをお話ししたところ、「停電になっては、パソコンを使用しているので困る」とのことでした。そこでサーモガンで温度測定をしましたが、異常はありませんでした。

点検結果の報告にあわせて、「何か電気で変わったことはありませんか?」とお尋ねしたところ、「屋内の電気がついたり消えたりする時がある」とのことでした。

そこで、分電盤内に何か不具合があるのではと考え、あらためて、停電の了承を得て、内扉を開き、40回路全てについて目視点検を実施しました。すると、1個のブレーカー二次側の接続電線が焼損しており、締め付けが不十分な状態でした。早速、当該箇所をお客さまに確認していただいた後、焼損部分を取り除いて接続部を改修するとともに、ブレーカーすべての増し締めを実施しました。お客さまは「まだ家が新しいのにそんなことがあるの?大事に至らなくて良かった」とホッとしておられました。こうして、問診がきっかけとなり、設備の異常を発見することができ、お客さまにも停電にご理解いただけるなど、その重要性を再認識しました。

最近では、通電していないと困る電気機器も増えてきており、「一時的にでも停電は困る」と言われるお客さまも少なくありません。しかしながら15年前と比べると高容量の電気機器も格段に増えており、多種の電気機器の普及による容量過多でのたこ足配線や、プラグやテーブルタップからの電気火災、電気クッキングヒーターや携帯電話のリチウム電池などからの火災も増加傾向で、注意が必要です。3本の電線で200V機器と100V機器が使用できる「単相三線式配線」において、3本のうちの「中性線」が住宅用分電盤内の接続部で断線することで、100V機器が故障するトラブルも発生しています。こうした電気のトラブルを未然に防ぐため、お客さまの電気設備の点検調査を無償で実施しておりますので、調査に伺った際には、屋内の分電盤の点検などへのご協力をお願いいたします。