定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.30人里離れた山間部では

高知支部 調査員 石川 達也

調査業務に携わって4年になります。まだ4年という短い期間ですが、色々な地域のお客さまを、電気設備の点検でお伺いさせていただきました。お客さまには、「ありがとう、ご苦労さま。」と声をかけていただいたり、時には不十分な点をご指導いただいたりしたこともありました。これは、そんな毎日のなかでの出来事です。

高知県は山地率が89%ということもあり、中山間地域のお客さまを訪問させていただく機会が多々あります。

その日は、市内から車で1時間30分くらいの山間地域を訪問しました。前日に地図を見た時、訪問する地域のエリアが広域だったので、1日ですべてのお客さまをお伺いできるか心配でしたが、思っていたより早く周ることができ、最後の1軒になりました。しかし、そのお客さま宅を探すのに、山道を登ったり、降りたりしましたが、なかなか見つけることができませんでした。地元の人に聞きながら、ようやく1軒だけ人里離れた場所にあった最後のお客さま宅に到着しました。そこには、1人の高齢のおばあちゃんが住んでおられました。「四国電力から委託を受けて、4年に1回、電気設備の点検でお伺いしています。」とのお話をして調査の承諾をいただき、点検をさせていただきました。漏電測定、屋外の目視点検、屋内の分電盤等の点検でも異常な箇所はなく無事点検が終わりました。パンフレットをお渡ししながら点検結果などを報告し、「周りにお家がなく寂しくないですか? おひとりだと不自由なこともあるのではないですか?」とお尋ねすると、「息子は帰ってくる度に、1人だと何かあった時に心配だから僕の家に行こうと言うてくれるけど、少しくらい不便でも、私はここがえいがよ。」というお返事でした。そういえば私の祖母も、数年前に田舎から市内の私の両親の家に来た時、最初の1カ月くらいの間は毎日のように、「家に帰りたい。帰りたい。」と言っていたのを思い出しました。私は、周りの人からは大変そうに見えても、やはりその土地でずっと生活してきた方にとっては、住み慣れた場所が一番良いんだなと思いました。

これから、山間地域はますます高齢化と過疎化が進んでいくと思います。そういうふうに社会が変わっていくなかで、このようなお客さまと出会うたびに、美しい自然の中でのエコな生活や、「先祖伝来の土地を守っていく」という自然体な姿勢などを垣間見て、いろいろ学ぶことも多いです。また、私たちの調査業務においても、電気の安心・安全をしっかり守る電気設備の点検はもとより、他にもお客さまのお力になれることがあるのではないかと考えさせられます。これからも、少しでも多くのお客さまに満足していただけるように、常に自分にできることを考え、人との触れ合いを大切にしながら、業務に努めたいと思います。

おばあちゃんの「ありがとう。また来てよ。」というやさしい言葉に見送られて、(いつまでもお元気で!)と祈りつつ、そのお宅を後にしました。