定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.28電気事故未然防止は安全調査での緻密な観察から

坂出事業所 調査員 大西 崇之

4年に一度の定期調査で、ある築年数が相当経過した古い家屋を訪問した折の事です。
玄関のドアをノックし、声もかけましたが、人の声や物音もせず、出て来られる気配もないので、不在時にお配りしている「電気設備の安全調査のお知らせ」を玄関のドアに挟み、隣のお客さま宅へ向かいました。

隣のお客さま宅で、電気設備の安全調査を行い、調査結果を報告している際、先に伺った留守宅の話になりました。そこにはお客さまのお母さまが一人で住んでおられ、高齢で耳がご不自由なため、安全調査については、屋外点検と電力メータ付近での漏電調査だけで良いとのことでした。

そこでお母さま宅に戻り、電力メータ付近で漏電調査を実施したところ、基準値の1mAを超え3mAと表示されたので、I0r測定用ユニットを使用して再測定をしたところ基準値を下回ったので、漏電調査は異常なしと判断しました。引き続いて屋外の電気設備の点検を行いました。屋外の引き込み口配線は、はじめに碍子引き配線をされ、途中からVVFケーブル配線に繋がれ、最後に外壁とトタン板の間に入り電力メータまでケーブルで配線されていました。そこでトタン板を検電器で検電したところ、検電器が発光したので異状があるかもしれないと思い、高所型クランプ漏れ電流計を使用して調査しました。財産分界点付近にて漏電の調査をしたところ、電力メータ付近での測定値より大きな30mAと漏れ電流が表示されました。そのため停電による調査が必要であると判断し、お客さまにその旨お伝えしました。後日、許可をいただいて停電処置を行い、碍子引き配線とVVFケーブルの接続点で切離し、再度絶縁測定を行いました。その結果、切離し点から電力メータの1次側の間が絶縁不良(0MΩ)であると判明しました。そこで、お客さまにこのままでは、感電や火災の恐れがあり、修理は急を要する旨説明しました。お客さまは、その後すぐ工事業者に漏電箇所を修理してもらったとのことで、お客さまからは、「独り暮らしの母の家で、電気火災等の大事に至らなくて良かった」と喜んでいただけました。

今後も小さなことも見逃さず、屋外、屋内の点検時には、観察を十分に行い、電気事故の未然防止に取り組んで参ります。