定期調査時の体験談

調査業務における体験談 vol.26倒壊寸前の空き家の重大事故を未然防止!!

山田事業所 調査員 橋本 幸雄

閑散とした山間地を定期調査でまわっていると、明らかに何年も人の住んでいる気配のない空き家に遭遇することがあります。山奥の空き家は持ち主が年に数回しか戻って来ない状況が多くみられ、調査のために訪問しても持ち主にお会いできる機会がほとんどありません。業務を遂行するにも、敷地内に入ることも困難な場合や、入ることができても、雑草が生い茂り、玄関口や電力メーターまでたどりつくのにも苦労するような状況です。あるお宅では「今日はタイミングよく来たね」と話しかけられ「なぜですか」と尋ねると、「今日は用事があって戻っており、普段は入り口に鍵を掛けていて入れないよ」と言われました。その時は、偶然、空き家に持ち主が戻っている時に訪問でき、本当に良かったなと思いました。

一年ほど前、そんな山間地に定期調査で訪問した時のことです。訪問したお客さまはご不在で、どう見ても人の住んでいる気配のない空き家です。お客さま番号確認のため電力メーターを探していると、電力メーターを取り付けている上部の屋根が崩れ、電柱から引込んだ電線を止めている支持点の金具も外れているのを発見しました。電気を止めているようでもないので、電力メーターの電源側で漏れ電流を測定したところ、漏電の恐れがあると判断される1mAを超えていました。もしかすると分電盤も崩れた箇所に付いているのではないかと疑い、ドアが開いていたので外から屋内を見渡すと、分電盤も草の中に脱落して雨水がかかっているような状態でした。このまま放置することは危険です。早速、山を下りて、麓に住んでいる方に持ち主を尋ねると、「現在その山の家は誰も住んでいないが、家主はこの近くに住んでいるよ」と言うことでした。

早々に家主を訪問し、山の家の現況をお話しし、漏電や火災になる恐れがあることを説明して改修をお願いすると、「今後もそこでは住む予定はない」ということでした。「それでは四国電力に電線を撤去してもらう手続きをした方が安全ですよ。」と説明したところ、保安協会で四国電力に取り次ぎできないかと頼まれました。そこで、当日すぐに四国電力に当該家屋への早急な対応を依頼しました。

後日、お客さまから「おかげで漏電などの電気事故にもならず、電気代も減り家計も助かった」と感謝の声をいただくことができました。

高齢化、過疎化により、全国的に空き家の率が増えてきております。空き家の管理のため通電している場合でも、無人の状態では、加速度的に家屋が老朽化していますので、防災・防犯面でも注意が必要です。調査業務の訪問先ではいろいろなことに遭遇しますが、これからもお客さまの大切な財産や命をまもるため、電気を安全に、安心して使用していただけるよう的確に調査業務を行ってまいります。