電気事故に学ぼう90思い込みによる確認不足が招いた感電事故事例
電気事故報告は、電気に係る保安の確保のために欠くことができないものであり、その内容の分析に基づいて、類似の事故の再発防止策を講じるとともに、電気工作物の安全性の確保、信頼性の向上などのための施策の検討を行っています。
感電などのその他電気工作物に係る死傷事故は、法目的である「公共の安全の確保」の観点から重要なものであることから、報告を求めるものであり、今回は、作業者の過失による「感電事故」事例を紹介します。
「感電事故」とは、充電している電気工作物や、当該箇所からの漏電または誘導によって充電された工作物等に体が触れたり、あるいは電気工作物に接近して閃絡を起こしたりすることで、体内に電流が流れ、または、アークが発生し、直接それが原因で死傷(アークによる火傷等も含む)した事故または電撃のショックで心臓麻痺を起こしたり、体の自由を失って高所から墜落したりすることなどにより死傷した事故のことです。
また、電気による感電負傷の場合は、一般的な熱傷などによる火傷などと異なり、電気工作物の接地状況や使用場所の環境、充電部に接触した人の着衣の状況等によって、体内を通過する電流の大きさや通過経路などが異なり、それらに応じて人体への影響が異なるという特徴を有します。感電による人体への影響は、体表面の損傷の程度では重症度が判断できないこと、時間の経過とともに局所の損傷が拡大するという特徴も有することなどから、加療期間ではなく、入院という行為を事故報告の対象としたものです。
資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
事例
| 使用電圧 | 6,600V |
|---|---|
| 設置場所 | 需要設備 |
| 事故点の電圧 | 200V |
| 主任技術者の選任形態 | 選任 |
| 事故発生月 | 12月 |
| 供給支障電力・時間 | - |
| 事故発生の電気工作物 | 動力用開閉器箱 |
| 事故原因 | 作業者の過失 |
| 経験年数・年齢 | 12年目・30歳 |
| 天候 | 晴 |
事故概要
工場の改修工事中、一部配線の切り離し作業時に、開閉器箱の撤去作業を行っていたが、活線であることを失念してしまい、電源側ケーブルを取り外し開閉器箱からケーブルを引き抜こうとした際に短絡アークが発生し、左手3度熱傷を受傷した。
事故原因
動力用幹線(3相200V)をループ配線している箇所であり、作業責任者、作業員とも、当該箇所が改修工事により、ループ配線から切り離された回路と誤認した。
作業前に当該開閉器箱の負荷側(ブレーカー切状態)で検電を行い、電源側を検電せずに開閉器箱を取り外そうとした。
再発防止対策
作業前打合せでは、検電しながら作業をすると決められていたが、検電する場所については、明確にしていなかったため、「検電は停電して取り扱う回路の電源側で行う」ことを再発防止対策とした。
事故点
事故発生電気工作物
感電死傷事故に関する注意喚起
電気保安業務に従事する皆さまへ
長年の経験の蓄積による思い込みが、安全基本動作の遅れを招くこともありますので、作業に当たっては「作業前の検電」、「安全保護具・防護具の着用・使用」、「図面と現場の確認」など基本事項を遵守してください。
今回の事例では、思い込みによる確認不足が招いた事故になりますので、当たり前の作業であっても、ダブルチェック、再確認などの基本動作を忘れないようにしてください。
初めての作業や変更した作業には、作業安全の盲点が潜んでいる場合が多々ありますので、作業者全員による作業前の危険予知ミーティングを実施し、作業に潜む危険の予測、危険に対する対策を共有し、作業安全をより確実なものとするようお願いします。
設置者の皆さまへ
電気事業法第43条第5項に基づき、電気設備に関する工事などについては、電気主任技術者の監督のもと、作業を行う必要があります。このため、必ず工事等の実施前に、設置者自身が電気主任技術者に連絡するか、工事業者に対して電気主任技術者に連絡を入れるよう依頼ください。また、電気主任技術者に無断で電気室やキュービクルに入室しないでください。その上で、以下のような工事などでも、事故やヒヤリハットが起きていますので、念のため、工事などに先立ち、電気主任技術者への連絡をお願いします。
- ・エアコンやエレベーターに係る工事など、通常は電気室やキュービクルでの作業を伴わない工事など(本来はキュービクル外の電源に接続すべきところ、それが見つからず、キュービクルを開けてしまったなどの事例あり)
- ・設備や建物の塗装工事、外壁工事など足場やクレーンを使用する工事、地面の掘削を伴う工事など、一見、電気に関連しない工事など(高圧の引込線のすぐ近くに、工事作業のための足場を立ててしまい、そのまま作業すると高圧線に触れかねなかったなどの事例あり)
- ・工事などの実施に先立つ下見作業など(保守点検作業の下見のために、キュービクルを開けてしまい、充電部に触れて感電したなどの事例あり)
出典:経済産業省 感電死傷事故に関する注意喚起
(https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2024/06/20240628-1.html)
