電気事故に学ぼう

電気事故に学ぼう89保守不備(自然劣化)による波及事故

2023年度に四国管内で発生した電気事故について、電気関係報告規則第3条の規定に基づき、事業用電気工作物の設置者から42件報告を受けています(2024年3月31日現在)。そのうち、波及事故が13件発生しています。
波及事故とは、高圧受電設備などで起きた事故が原因で、電力会社の配電線に接続されている住宅、病院、工場および交通信号システムなどの広範囲に停電が広がる事故をいいます。波及事故は他者に対し様々な被害を与える、社会的に大きな影響を及ぼす重大な事故です。
過去5年間(2019年度~2023年度)においても、四国管内で40件の波及事故が発生しています。
今回は、2024年度に発生した保守不備(自然劣化)による波及事故事例を紹介します。

中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課

事例

使用電圧 6,600V
設置場所 需要設備
事故点の電圧 6,600V
主任技術者の選任形態 外部委託
事故発生月 6月
供給支障電力・時間 79kW・53分
事故発生の電気工作物 引込用高圧ケーブル(CET、2004年製)
事故原因 保守不備(自然劣化)
経験年数・年齢
天候

事故概要

引込用高圧ケーブル(CET、2004年製)の端末部分の隙間から雨水が浸入し絶縁破壊し、地絡した。この時に方向性地絡継電器が動作しなかったことから、高圧区分開閉器が開放せず、波及事故に至った。(停電戸数38戸)

事故原因

調査の結果、引込用高圧ケーブルの絶縁不良が確認された。外観点検を実施したところ、引込用高圧ケーブル1相(赤相)の末端部の被覆が下がり充電部の露出がみられた。引込用高圧のケーブルシュリンクバック現象※により、ケーブルシース部分が収縮し、その間に雨水が浸入したことが原因と考えられる。方向性地絡継電器は、間欠地絡により地絡検出ができなかったため動作しなかったものと考える。

再発防止対策

引込用高圧ケーブル(CET)の交換、ケーブル端末部にシュリンクバック対策品を使用。

※ケーブルシュリンクバック現象
ケーブル製造時、シース(ケーブル外側の被覆)に残留応力(収縮しようとする歪み)が残り、それが日射や通電などによるヒートサイクルにより解放されることで、シースがケーブル中央方向に収縮する現象。

事故のあった引込用高圧ケーブル

注意喚起

今回の事例では、EMケーブル(いわゆるエコケーブル)が敷設されていました。EMケーブルは2000年頃から導入普及が進みましたが、EMケーブルに用いられるポリエチレン系シースは、ビニルシースに比べ製造時の残留応力が大きいことから、比較的収縮しやすいという特徴があります。特に、太いケーブルや、直線部が長い箇所および日射による温度変化が大きい箇所では、収縮量が大きくなる傾向がありますので注意してください。
シュリンクバック現象による事故発生抑制のため、特にEMケーブルの端末部においては、シースストッパーなどの対策を講じるよう、ご検討をお願いします。
また、日常点検においては、ケーブル端末部におけるテープの巻き乱れや銅テープの露出などに注意するようお願いします。

自家用電気工作物設置者の皆さまへ

自家用設備に電気事故が発生すると、生産活動に大きな痛手を被るばかりでなく、万一、波及事故を起こすと、近隣の需要家に停電などによる多大な損害を与えてしまいます。
波及事故の原因として、例年、保守不備(自然劣化)によるものが多く発生しています。これらは、計画的な設備更新を行うことで事故を防ぐことができる事案です。電気主任技術者から電気設備の更新や補修に関する報告を受けた場合には、放置することなく早期に改善を実施するようお願いします。
電気主任技術者におかれましては、確実な日々の点検の実施と、各機器の更新推奨時期などを踏まえた計画的な設備更新を行うことで、保守不備による事故を未然に防いでいただきますようお願いします。
適切な保守点検とともに、必要に応じて機器単位または全体的な更新を行い、波及事故を防ぎましょう。

2023年度四国管内電気事故発生件数

(2024年3月31日現在)

事故種別 事故発生件数
感電死傷事故 0
感電以外の死傷事故 0
電気火災事故 0
他物損傷・機能被害事故 4
主要電気工作物破損事故
(うち太陽電池発電所の逆変換装置によるもの)
20
(6)
発電支障事故 4
供給支障事故 0
波及事故 13
ダム異常放流事故 0
社会的に影響を及ぼした事故 1
42