電気事故に学ぼう54作業者の過失と電気工作物不良による感電死傷事故
四国支部管内における過去5年間に発生した感電死傷事故原因別発生件数において、最も多いのは被害者の過失(5件)でした。今年度も10月末現在、2件発生しています。
今回は、7月に起きた感電による事故事例を紹介します。
資料:中国四国産業保安監督部 四国支部 電力安全課
感電死傷事故
使用電圧 | 6.6kV |
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設置場所 | 製紙工場 |
事故点の電圧 | 6.6kV |
主任技術者の選任形態 | 外部委託 |
事故発生月 | 7月 |
供給支障電力・時間 | - |
事故発生の電気工作物 | 断路器(DS) |
事故原因 | 感電・公衆(被害者の過失、電気工作物不良) |
経験年数・年齢 | - |
天候 | - |
事故概要
以前より破損していた電気室外装スレートを交換していたところ、作業員の右上腕部付近が断路器に近づいて感電。
交換作業前のミーティングでは、電気室に立ち入らないよう申し合わせていたが、入室しないと作業ができないと被災者は判断し、作業責任者への連絡なく入室。電気主任技術者(外部委託)からは工事で電気室内に入る際は相談するよう伝えていたが、連絡せず工事が行われた。
また、電気室は常時未施錠の状態であった。
被災者は右上腕部付近にやけどし、治療に1カ月程度要した。
事故原因
- 被害者の過失
電気室に立ち入らないように申し合わせていたにもかかわらず、無断入室。
作業者間の連絡不十分。
電気主任技術者への事前連絡なし。
十分な安全教育がなされていなかった。 - 電気工作物不良
電気室は常時未施錠となっており、容易に立ち入れる状態。(電気設備の技術基準の解釈第38条第2項第2号「出入口に施錠装置を施設して施錠する等、取扱者以外の者の出入りを制限する措置を講じること。」)
再発防止対策
- 電気室内で作業する場合は、電気主任技術者と事前に作業内容の安全面について打ち合わせる。停電等の措置を執り安全作業が行えるよう指導する。
- 電気室は施錠して容易に立ち入れないよう鍵を事務所担当者が管理する。
電気室への入室は?
電気室は常に施錠し、鍵の保管・管理体制を確立し、工事に際しては、電気主任技術者の許可のもと貸し出すようにしましょう。
現場に適した作業計画を確実に作成し、作業手順を忠実に守り、ヒューマンエラー(危険予知不足、注意力低下等)をなくしましょう。
平成26年度四国管内電気事故発生件数
(平成26年10月30日現在)
事故種別 | 事故発生件数 |
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感電死傷事故 | 2 |
感電以外の死傷事故 | 0 |
電気火災事故 | 0 |
社会的に影響を及ぼした事故 | 0 |
主要電気工作物破損事故 | 9 |
供給支障事故 | 1 |
波及事故 | 12 |
計 | 24 |